タントより“背高” スーパーハイト人気で誕生したウェイク
ウェイクは、「タント(ウェイク登場時の先代で全高1750mm、現行モデルで1755mm)の上を行く車内スペースを得るため、全高を1835mmまで高めたスライドドアを持つ軽スーパーハイトワゴン」として2014年11月に登場。
全高を高めたぶんはスペースの広さに加え、アップライトな見晴らしのいい着座姿勢や頭上空間を利用した遊び道具の収納スペースの提案などに使われた。
また、ウェイクはレジャーの足としての使用も考慮し、レジャー人口の多いキャンプ、釣り、登山といったジャンルのプロフェッショナルとのディスカッションが行われ、そこで得た情報は収納スペースやディーラーオプションなどに盛り込まれ、「面白いコンセプト」とは感じられた。
ウェイクもキャスト同様に登場時の月間販売目標台数が5000台だったことを頭において振り返ってみたい。
今年の販売がコロナウイルス禍の影響はあるにせよ低迷しているのは気になる。
しかし2015年以降「月間販売目標台数ほどは売れていない」というのは事実にせよ、「新しいジャンルの軽自動車」として見れば「思ったより売れている」とも解釈できそうだ。今になると5000台の月間販売目標台数が強気すぎたのかもしれない。
なぜウェイクはパッとしないのか
キャスト同様にウェイクが「思ったより売れている割にイメージがパッとしない理由」を考えてみると2つの理由が浮かぶ。
■得たモノと引き換えに失ったモノの方が多かった
ウェイクが、全高を高めたことでスペースを得たのは確かだ。
しかし、全高を高めたことでロールを抑えるため、サスペンションを固めざるを得なくなったゆえの乗り心地の悪さ(あれだけ高い全高にも関わらず実用上問題ない走行安定性を確保している点は見事ともいえるが)、現行タントの約900kgに対しウェイクは約1tという重量増による動力性能と燃費の悪化といった失ったものも多かった。
スペースに関しても、タントのような軽スーパーハイトワゴンでも十二分に広く、さらにウェイクの価格は現行タントに対し約10万円高いというのも総合すると、「タントで十分」と考える人が多数派なのも当然と言えば当然だ。
■広いけど軽で一番広いわけでもない
軽自動車ユーザーのなかに「どうしてもタントより広いクルマが欲しい」という層もいるとは思う。
ウェイクはそういったユーザーの受け皿としても企画されたのだろうが、「軽自動車で一番広いクルマが欲しい」というならいっそのことターボ車同士ならウェイクと価格が近いアトレーのような軽1BOXカーの方が広い。
また、ハイゼットカーゴのような軽1BOXバンであれば価格が安いのに加え、キャンパーなどへのモディファイもしやすく、ウェイクは中途半端にも見えるのも否めない。このあたりが重なって斬新なコンセプトだった割にパッとしないのではないだろうか。
◆ ◆ ◆
キャスト、ウェイクともに登場から随分時間が経っている割に次期モデルに関しては噂も聞かない。しかしどちらもそれなりに売れ、既存ユーザーがいるのを考えれば、次期モデルがある可能性は高いように思う。
次期モデルがあるのであれば、キャストはアクティバの役割はタフトに任せたことも生かし、ダイハツのラインナップにはない今年絶版になったホンダN-BOXスラッシュのような高級路線の軽自動車とする。
ウェイクもタントから始まったDNGAコンセプトのプラットホームやパワートレーンのポテンシャルを生かすなどして、どちらもせっかく始まった歴史が絶えないよう心機一転のチャレンジを見たいところだ。
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