ロータリーとマツダの生きる道 専用スポーツカーは絶望的か!? それとも…

■レンジエクステンダーが有力だが駆動用エンジンとしても復活も期待

 そんなロータリーが、ここへきて復活しそうな気配が濃厚となってきたが、レンジエクステンダーとして使うにとどまるというから複雑な心境だ。それでも大きな話題となり、まがりなりにも復活を喜ぶ声が小さくないのは、ロータリーひいてはマツダがそれだけ印象深いものを残してきたからにほかならないわけだが……。

 ロータリーは根本的に回し続けることに向いているエンジンであり、レースのような使い方には向いている。1991年にル・マンを制した「787B」もレース後に分解したエンジンは、さらにもう24時間、全開で走っても大丈夫そうなくらいキレイだったと聞いた記憶がある。

1991年のル・マン24時間レースにおいて、日本メーカーとして初の総合優勝。この優勝はロータリーエンジン車として初、レシプロエンジン以外でも初だった

 逆に、回転の上げ下げを繰り返す市街地には向いていない。燃料室の形状が長方形となるロータリーは根本的に燃焼の制御が難しい、というかできない。

 そう考えると、レンジエクステンダーという使い方には納得するものの、ロータリーがそのまま駆動力になるわけではない。それでもアクセルワークに合わせて、あの独特のサウンドぐらいは味わえるのだろうが、復活すると喜んでいる場合ではないように思えてならないのが正直なところだ。

CX-30をベースとしたプロトタイプEVの発表時に存在が明かされた、ロータリーエンジンを採用したレンジエクステンダー。市販化に向けて、その開発は着実に進んでいるようだ

 やはりロータリーは、スポーツユニットとして成功してこそ存在意義がある。ロータリーを搭載した市販車がない間もマツダは研究開発の手を止めることなく続けていたと伝えられるが、この先、レンジエクステンダーを世に出すことで新たに得られる知見もあることだろう。いつの日か我々が期待し、そしてマツダ自身も本当にやりたいことが実現できるときが訪れることを大いに願う。

【画像ギャラリー】語り継がれるローターリーエンジン その名機を搭載したかつてのモデルを振り返る

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