逆境すら逆手にとって活かす
このようなエンジニアたちの熱意は、4代目(ND)でも、しっかりと息づいている。NDでは燃費改善のため、ヘッドライトがLED化された。
LED化したことで低いノーズにできるのだが、重量がかさむ。しかしマツダのエンジニアたちはそれを逆手にとり、ユニット本体を元よりも低い位置にレイアウト、重心を下げることに役立てたのだ。また、ライトユニットの奥行きが短くすむので、オーバーハングを短くでき、ヨー慣性も小さくできた。
初代ロードスターへ、ストラット並みのコストでDWBサスペンションを織り込んだように、エンジニア自身が納得するスポーツカーを、ちょっとだけ頑張れば買える、リーズナブルな価格で実現しようとする熱意の表れだ。
作られた時代は異なるが、先人が築いてきた歩みを、後輩エンジニア達がしっかりと見てきたからこそ、「何か工夫ができるはずだ」という思考を繰り返すことができたのだろう。
変わらぬ熱意があったからこそ、生き残れた
高性能スポーツカーでは、速さを得るためにアルミニウムやカーボンを使うことも多々あるが、コストが上がり、だれでも手に入れることはできなくなる。
ロードスターは、コストを抑えながらも、あの小さくて低くて可愛らしいボディに、ぎちぎちに詰め込んだハードな走りのメカニズムをもっている点、走れば走るほどドライバーに馴染む奥深さを持っている点、こうした魅力があるからこそ、4代にもわたり作り続けられた。
マツダは「ロードスターが4世代にわたって作り続けられたのは、ロードスターを乗っている方やオーナーズグループの皆さんの笑顔によって支えられてきたおかげだ」とし、これからも、お客様との対話を、続けていきたい、という。
「このクルマを手に入れるほんの少しの勇気を持てば、きっと、だれもが、しあわせになる」――平成が始まった1989年に誕生した「ユーノス・ロードスター」のキャッチコピーだ。
このキャッチコピーには、ロードスターを生みだした、マツダの技術者たちの想いが込められている。そして、それは4代目となった現行ロードスターにも変わらず織り込まれ、その想いがユーザーに伝わっているからこそ、ここまで生き残ってこれたのだろう。
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