超名門パジェロ復活あるのか!? もう絶望的か!?? 三菱苦戦の事情と再興の鍵

■なぜパジェロは消えたのか? その復活はあるのか!?

 パジェロ製造が生産を停止する理由は、いわゆる選択と集中だ。今後の三菱は、欧州市場からも撤退して、タイ・インドネシア・フィリピンといったアセアン諸国、南米や中東などに経営資源を集中させる。

 パジェロが生産を終えた背景を整理すると、2つの理由がある。ひとつは先に述べたとおり、パジェロの人気が下がったことだ。後輪駆動をベースにしたオフロードSUV全体の売れ行きが下降して、三菱も前輪駆動ベースのアウトランダーを導入したから、パジェロの販売が一層下がった。海外では後輪駆動ベースの新しいSUVとして、パジェロスポーツも導入され、これも従来から設定されるパジェロの販売では不利に作用した。

2006年登場の最終型パジェロ。3.2Lのディーゼルエンジンは最高出力190ps、最大トルク45.0kgmというスペックで、本格オフローダーらしい分厚いトルクが頼もしかった

 2つ目の理由は、パジェロだけでなく、三菱全体の業績も悪化したことだ。2000年における三菱の世界生産台数は181万4000台(国内の乗用車販売は29万6000台)であった。

 それが2005年には、世界生産台数が136万3000台(国内の乗用車販売は16万3000台)に下がってしまう。国内販売については、不祥事の影響もあって半減した。

 2010年は世界生産台数が117万3000台(国内の乗用車販売は13万2000台)に低下している。2019年は世界生産台数は136万9000台、国内販売台数は10万3000台となった。

 業績が下がる過程で、日産は2016年に三菱の株式を34%保有して、筆頭株主になった。三菱は日産・ルノーのグループに加わっている。そうなれば三菱の戦略も、日産・ルノーとの相対性で成り立つ。商品開発は、アセアン諸国、南米・中東・アフリカなどを対象に、従来以上に絞り込むようになった。

 今までの三菱では、日本における新型車の発売が滞りがちだったが、今後は積極的に展開する。販売店では「エクリプスクロスは11月頃に販売を中止して、PHEVを加えるなど大幅な改良を施す。アウトランダーも10月頃に終了して、2021年には新型へフルモデルチェンジされる」という。

2020年11月頃に販売を中止し、2021年にフロントマスクのデザインを変更と、PHEVの追加を行うと明言されたエクリプスクロス

 パジェロが復活する可能性は低いが、アセアン地域やオーストラリアなどでは、以前から「パジェロスポーツ」を販売している。後輪駆動をベースにした4WDを備えるオフロードSUVだから、実質的にパジェロの後継車種と考えてよい。

■これからの三菱を支えるモデルは何か!? 苦境の三菱に必要な一手

 パジェロが生産を終えた今、三菱の国内販売車種には、後輪駆動をベースにした4WDを搭載するオフロードSUVが用意されない。発売から10年を経過した「RVR」と、約8年を経た「アウトランダー」、2年の「エクリプスクロス」のみだ。

 この3車種は全長は異なるが、前輪駆動ベースのプラットフォームはすべて共通化されている。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も、全車が2670mmで等しい。SUVを主力とする三菱として、今のラインナップだけでは弱い。

 従って三菱とそのグループが国内市場を大切に考えるなら、「パジェロスポーツ」を国内にも導入する。2023年以降にフルモデルチェンジする次期パジェロスポーツになる可能性もある。

 SUVと3列シートミニバンの中間的な「エクスパンダー」も注目車種だ。現行型はアセアン地域向けだが、2023年以降の次期型は、国内に投入されることも考えられる。

2007年に発売された2代目モデル以降は海外専売モデルとなっている「パジェロスポーツ」。デリカD:5と同様の縦型のマルチLEDヘッドライトとLEDポジションランプを採用した外観は迫力がある
エクスパンダークロスを含む「エクスパンダーシリーズ」は、3か国(タイ・フィリピン・ベトナム)合計で(2020年6月末までの)累計販売台数約26万台に達するほどの人気モデルに成長。日本導入を期待する声も多い

 この背景には、アセアン地域に向けたクルマ造りの変化もある。例えば日産は、インドでダットサンブランドを立ち上げたが、質感が不評で売れ行きも伸び悩んだ。アセアン地域は新興国などと呼ばれるが、日産の開発者は「もはや安さだけで売れる市場ではなくなった。上質なクルマ造りが不可欠」という。

 いい換えれば、今後のアセアン諸国で販売する商品は、日本と同等の品質を確保しなければ通用しない。そうなればパジェロスポーツやエクスパンダーも、走行性能、乗り心地、内装、各種の装備などを向上させるから、日本国内で販売することも可能な商品になる。

 当たり前の話だが、三菱が日本で評価されるには、日本のユーザーに喜ばれる新しい商品を発売せねばならない。海外向けも有効活用して(ルノーのOEMを導入する方法もあるだろう)、国内市場を活性化させて欲しい。これは日産にも当てはまることだ。

【画像ギャラリー】パジェロを超えろ! これからの三菱を支えるモデルたちをピックアップ!!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!