ハリアーなんと3位!!? フィットは?? ヤリスは? 2020年上半期のベストカーを決める!!!

 2020年も半分が過ぎて、8月である。コロナ禍によってクルマ業界でもあちらこちらで混乱が発生したものの、フィットやヤリス、ハリアー、RAV4 PHV、ルークス&eKスペース、ダイハツからはタフトが出たし、最新では6月24日に日産キックスが登場するなど、魅力的なニューモデルはちゃんと出ている。

 そんなわけで、2020年上半期に登場したニューモデルを一堂に会し、ベストカーならではの「2020年1/2ベストカー・オブ・ザ・イヤー」を決定したい。

 ベストカーでおなじみの10人の選考委員《鈴木直也、国沢光宏、渡辺陽一郎、片岡英明、松田秀士、小沢コージ、岡本幸一郎、清水草一、斎藤聡、飯田裕子/敬称略》が「持ち点25点」を使い、必ず1台、1番評価のクルマに10点を入れ、残り15点を単独9点を上限に、好きなように配分して採点するというルールで合計点を集計。

 どのクルマにどんな配点が集まったのか? そしてその配点に隠された評価の真意はどこにあるのか? じっくりご覧頂きたい。

【画像ギャラリー】順当? 意外?? 最終結果とベスト10に入ったモデルたちをギャラリーでチェック!!!

※本稿は2020年7月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年8月10日号


■選考委員10名はどんな視点で採点チェックをした!?

(TEXT/編集部)

 まあ、最終結果は左ページの表を見ていただけば一目瞭然でしょう。

集計結果

 見てのとおり、フィットとヤリスの2強に、アコード、ハリアーが続くという結果。大賞に輝いたフィットが61点で、次点ヤリスが57点。この両車、10名の選考委員全員が配点を与えており、フィットには4名が、ヤリスには2名が10点を付けている。

首位に輝いたホンダ フィット。コロナのみならず電動パーキングブレーキのトラブルによる発表&販売延期というトラブルに見舞われながらも好評価を獲得。4氏が満点(10点)をつけている

 ある意味、実にリーズナブルな結果であり、なんというか、ベストカー・オブ・ザ・イヤー実行委員としては「おもんね~」なんだけど、読者目線では「変な結果にならなくてよかったぁ」ってなことになる。

 それにしてもハリアーとアコードが同点3位というのはちょっと意外。ハスラーとタフトがもっと高得点になるかな? と思っていたんですね、正直なところ。キックスだって、もっと注目されてもいいんじゃない? って気持ちもある。

 ということで、ここでは各選考委員に、それぞれの採点から気になった点をピックアップして、質問を投げかけた。さて、それぞれの回答はいかに!?

9位にはいった日産ルークス&三菱eKスペース。スーパーハイト軽自動車の最新モデルだ

■マツダ CX-30のSKYACTIVE-Xに配点なし!(鈴木直也氏)

 CX-30(とマツダ3)に関しては、内外装のデザイン品質は世界的に見てもCセグメントのトップ。デザイン・オブ・ザ・イヤーなら、間違いなく上位にノミネートする。

 しかし、これはベストカーにもたびたび書いているのだが、中身(とりわけシャシー性能)については、ぼくがマツダに期待している水準には届いていない。

昨年10月のデビューから遅れて、今年1月16日に追加導入されたCX-30のSKYACTIV-Xエンジン搭載車。鈴木氏のような見方もあれば、松田氏(後述)のようにこの新世代エンジンの火花点火制御圧縮着火技術を高く評価する向きも

 もちろん、ハンドリングや乗り心地は世の中のCセグ平均よりは上と評価していいが、長年走りについてこだわってきたマツダにしては平凡。超高水準のデザインと対比すると、シャシー開発に向けたコストや熱量が物足りないのだ。

 SKYACTIVE-Xにしても、技術的には大いに興味深いものの、ユーザーメリットとコストのバランスがいまひとつ。燃費でもパフォーマンスでも、もう一歩突き抜けた魅力がほしい。

「真の実力はこんなもんじゃないはず」という期待を込めた無配点です。

■日産キックスにまさかの配点なし!!!(国沢光宏)

 日本カー・オブ・ザ・イヤーの場合、選考基準に「充分試乗できること」という一項がある。

 そりゃそうでしょう。試乗もしてないのに評価なんかできませんから。私の場合、この原稿を書いている7月1日時点でキックスに試乗していないため、今回は対象外とさせていただいた。というか試乗もしていないクルマに点数入れるなんてできないでしょう。といったことを前提に、試乗できていたらどうだった?

日本では6月24日に発表されたばかりの日産キックス。まだ試乗の機会が与えられていないため配点なしの選考委員がいたが、一定の注目度や期待度などがあることを考慮して1点を配点する選考委員も6人いた

 まずベースとなる評価基準は高くない。というのもキックスというモデル、4年前のデビューだからだ。クルマって4年すると1世代前というイメージ。

 今回e-POWERなども新たに搭載されてきたものの、これまたノートやセレナから大きく踏み出していない。RAV4 PHVのような大幅刷新じゃありません。ということで、試乗をすませ、ソコソコよいクルマであっても、上位5車種に食い込むのは難しかったと思う。

■ハスラー4点 タフト0点。タフトはアカン?(渡辺陽一郎氏)

 タフトに点数を付けなかった理由は、ハスラーの後追い的な商品でありながら、本質的な機能で負けているから。

 ハスラーの後席は前後にスライドして、背もたれを前側へ倒すと座面も下がり、床の低いフラットな荷室になる。しかもシートアレンジが左右独立式で、これはタントやスペーシアと同等だ。

 これら荷室の多機能は、SUVの価値観を備えた背の高い軽自動車にとって重要なのに、タフトの後席は座面が固定されている。前後スライドや座面の昇降機能を省いた。シートアレンジは5年前に発売されたムーヴにも負ける。

 またキャストアクティバ(すでに生産終了)やハスラーの4WD車には、滑りやすい急斜面を安定して下れる電子制御機能が備わるが、タフトはこれも省いた。スカイフィールトップやLEDヘッドランプを全車に標準装着するなど、充実装備で価格は割安だが、荷室と4WDの機能に不満がある。

6月10日に登場したダイハツタフト。角ばったフォルムにブラックの前後フェンダーアーチなど、クロスオーバーの雰囲気がいい。スマアシは夜間歩行者検知機能へと進化。135万3000円からという価格

■トヨタ ハリアー配点なしの理由は?(片岡英明氏)

 上半期のハイライトは、コンパクトカー市場をけん引するヤリスとフィットだ。世界を舞台に優劣を競っている売れっ子の2車を中心に、前半の動向は推移した。

 軽自動車も元気だ。こちらも人気の高いSUV感覚のハスラーやスーパーハイトワゴンのルークスなどが相次いで新型に生まれ変わっている。

 軽クロスオーバーカーのタフトは東京オートサロンなどの会場で実車を見たし、クルマに乗り込むこともできた。だから採点に加えている。

 だが、6月に登場したハリアーは提供された写真を見ただけだ。それなりの価格のSUVだし、期待度も高いから実車に触れて、乗ってみてから適切な評価を下そうと考えた。

 また、同じメカニカルコンポーネントを使うRAV4との違いも気になったから、今回は5台のなかに選んでいない。だが、乗った人の評価は高かったので注目している。

6月17日に発売された新型ハリアー。片岡氏はまだハリアーは試乗していないため配点が0となった

■マツダ CX-30を10点にした理由は?どこを高く評価しましたか?(松田秀士氏)

 ひと言でいえば、新しい技術にチャレンジする姿勢を評価した、わけである。

 リーンバーン(希薄燃焼)をガソリンエンジンで、しかもディーゼルのような圧縮着火を行う。さらにドライブしてみると、言われなければわからないほどほかのガソリンエンジンと同じく普通によく走る。この先にさらに伸びしろがあることを予感させるし。

 世の中、どちらかというとハイブリッドや電動化の技術に目を取られがちで、電動車はどれもこれもバッテリー容量やレイアウトへのチャレンジに終始している。これをイノベーションと捉えるには物足りない。もっと何か、例えば「40kWhのバッテリー容量で800km走ります」みたいな、誰もがあっと驚くような技術革新が電動化のなかにまだ見えない。

 その意味で、既存のガソリンエンジンにはまだまだやれることがあると、研究を重ねてでき上がったSKYACTIV-Xを大いに評価したわけです。

■フィット&ヤリスよりハリアーを高く評価した理由(小沢コージ氏)

 ヤリスはスーパー高効率のハイブリッド以外、コンセプト自体は古典的。簡単に言うとカッコと走りに特化したとても出来のいい欧風コンパクト。クォリティに感動こそすれ、考え方は昭和的で新しさなし。国内本命は来年あたりの新型アクアではないかと。

 かたやフィットは、見た目優しく、走り優しく、室内広いイマドキの優しすぎるコンパクト。そういう意味ではヤリスより新鮮だが、ハリアーにはもっと度胆を抜かれた。根本はモテたい人のためのスタイリッシュSUVなのだ。

トヨタ ハリアー

 コンセプト的には1980年代に映画「私をスキーに連れてって」でのホイチョイプロダクション的な匂いすら感じるが、骨格はRAV4で鍛え上げられたTNGAプラットフォームであり、新型ハイブリッドシステムの実力も凄い。

 だが、そこに頼り切らず選べるブラックカラーや雅な乗り味を実現。イマドキ歌謡曲をヒットさせるような豪腕コンセプトに懐かしさと驚き!

■配点0点だけどBMW2グランクーペはいい!!!(岡本幸一郎氏)

 中身は1シリーズと基本的に共通で新鮮味はないし、他の配点したいクルマに点を投じた結果、0点になってしまったけど、決して評価が低いわけではない。むしろ買ってもいいくらい気に入ってる。なんといってもカッコイイ。

 まず1シリーズについてだが、これまでFRだからこそ一目置いていた人は少なくなかった。特に日本では。ところがFFになった現行型は、激戦区であるCセグのハッチバック車のなかで、あえて選ぶ理由が薄れたのは否めず。実際あまり売れゆきも芳しくないようだ。

 ところがグランクーペになると事情は異なる。そもそも4ドアクーペというものを出すことが許されるブランドはかぎられるし、こんなにスタイリッシュなんだから、それだけで存在価値がある。駆動方式が云々というのはあまり関係なくなってしまうわけだ。

 それにしてもメルセデスもBMWも刻むな~。もちろん魅力的な選択肢が増えるのは大歓迎だけどね。

BMW2シリーズグランクーペは、1.5L直3ターボを搭載するFFの「218i」と、2L直4ターボで4WDの「M235i xドライブ」を用意

■ヤリス10点、フィット5点。両車の評価の差はどこがキモ?(清水草一氏)

 総合的な商品力は、フィットのほうが上だって認めるけど、ヤリス(ハイブリッドに限定)は飛び抜けて優れた部分があって、それがココロに刺さってしまったんだよね。

 具体的には、加速のよさと燃費。総合的な走りの楽しさがスゲエ! かつてトヨタのハイブリッドといえば、退屈の代名詞みたいなもんだったけど、誕生から20年以上を経て、ついにここまで来たかって感じだよ。

 とにかくモーターのダッシュがすごい! エンジンも加わるから加速の息もけっこう長い! 足回りもスポーティで打てば響く! 楽しく走った結果としての燃費がすさまじくイイ!

 フィットは、ヤリスより居住性は断然いいしエクステリアもインテリアも優れてる。でも走りは平均点+αくらいで、飛び抜けたものは持ってない。クルマ好きとしては、弱点はあっても長所がデカいヤリスに贔屓したくなる。

BMW2シリーズグランクーペは、1.5L直3ターボを搭載するFFの「218i」と、2L直4ターボで4WDの「M235i xドライブ」を用意

■アコードを最高点10点とした理由(斎藤 聡氏)

 アコードを1位に推した理由は、静粛性に徹底的にこだわって作り込んだところ。ひたすら静かさにこだわり、ありとあらゆる技術とノウハウを搭載して作り込んだその徹底ぶりはみごと。

 静粛性に特化したクルマは、得てして操縦性が苦手というか、それなりだったりする。それは各種ブッシュ類で振動を逃げた結果、緩い操縦性に仕上がってしまう傾向があるからだ。

 ところがアコードは、操縦性も優秀。きちんとフレームを頑強に作り、適度にブッシュを締め、操縦性のよさをちゃんと成立させている。クルマとして走る楽しさを実現しながら静粛性も両立している。ハイブリッドだろうが電気自動車だろうが、やはりクルマは走ってナンボ。

 アコードは2モーター式ハイブリッドシステムを使い、ほとんどのシーンでモーター駆動なのに、不思議なくらい運転する楽しさを持っている。そこも魅力のひとつ。

2月20日にフルモデルチェンジして登場した新型アコード。2LハイブリッドのFF車のみという1グレード展開で価格は465万円

■ボルボ XC60 B5に5点を付したポイント(飯田裕子氏)

 コロナ渦中に登場した新車の試乗は完璧ではないので未試乗車は選考外としています。が、試乗をコンプリートしていたらもっと迷ったかもしれないです……。

 だって今回5点を配点したボルボXC60 B5は新型車ではなくもと大きな価値を見い出せたくらいですから。パワートレーン=48Vバッテリーを搭載するマイルドハイブリッドモデルの追加によってこのXC60のドライブフィールの質感が想像以上に向上。

 2Lターボエンジンをモーターがアシストし、加速も静粛性も燃費もアップ。軽く滑らかに走るXC60 B5は、ボルボのデザインアイコンでもあるT字型LEDライトのクリスタル感というか、透明感がますますドライブフィールとシナジーしていい感じ。

 質感が高くモダンさと温もりが同居するインテリア、豊富な先進安全技術の標準装備などの優位性とともに、今後ますます電動化を進めていこうというボルボらしい進化と変化を、このマイルドハイブリッドモデルで感じられたところも5点の配点に込めています。

XC60 B5はこれまでのT5に代わる2Lガソリンターボエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドモデル。価格は634万円から

■まとめ

(TEXT/編集部)

 コロナ禍で大混乱を強いられた2020年上半期だったが、こうしてみると、大変な状況だったにもかかわらず、自動車メーカーは計画に遅れは多少あったものの、魅力的なニューモデルをしっかりと送りこんでくれたことに感謝したい。

 前半のニューモデルは、全般的に国産車が充実していて、相対的に輸入車に新規モデルの投入が少なかった印象。

 配点に関しては、ハリアー&RAV4 PHVなどは6月の発売となったため、試乗に間に合わず配点なしとなった部分もある。

 後半はどんなモデルが評論家たちの目にとまるのか、そして年間ベストカーの称号はどのクルマに与えられるのか? 今後も注目して見ていきたい。

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