7月にアリアを発表した日産が同時にメーカーのロゴも新しくしたのを筆頭に、ここ1年以内でBMWやフォルクスワーゲン(VW)もメーカーのロゴを変更している。
ロゴはメーカーの顔と言っても過言ではないもの。それだけに、頻繁に変わるものではない。
そうしたなかで最近増えたメーカーのロゴ変更には何か共通する理由があるのか? 各社の回答も含めて背景を探った。
文:永田恵一、写真:日産、BMW、VW
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日産の回答に滲むロゴの意味とデザイン一新の背景は?
まずは日産広報部に尋ねてみた。するとロゴの変更について、以下の回答を得られた。
「日産のロゴは、クルマの顔であり、日産のアイデンティティを示し、お客さまに一目で、日産車が提供するワクワクするドライビングを予感させる役割があります」
「現在、お客さまは物理的なものと同じくらい、デジタルなものに囲まれて暮らしています。そのため、お客さまとの物理的なタッチポイントだけでなく、デジタルなタッチポイントにおいても効果的に日産のアイデンティティを示すことができる新しいロゴマークを開発しました」
「新ロゴは、しっかりとした工業製品的な雰囲気から、洗練された親しみやすいデジタルフレンドリーな外観へと変化しています」
「これは、日産が伝統的な自動車メーカーとしてだけでなく、モビリティとサービスを提供する企業へと進化したことを示すものであり、日産が持つ技術革新の伝統、そしてお客さま、従業員、社会へのコミットメントと誇りを表しています」
この回答をまとめると、パソコンやスマホに代表されるデジタルメディアへの対応と、新体制となったことも含む決意表明のような狙いも含んだロゴの変更、といったところだろう。
VWとBMWの新ロゴも狙いに共通点?
VWとBMWの二社は、ロゴの変更に際してプレスリリースに、その理由を記している。以下はそれを要約したものだ。
●VW(本国では2019年9月、日本では2020年6月から)
「新しいロゴは新しいVWの幕開けを意味し、その中には電動化、完全なコネクテッド化、ニュートラルなカーボンバランスの未来を目指すことも含まれ、より明確で、本質以外の無駄を削ぎ落としたデザインとなっている」
「また、新しいロゴはいろいろなメディアに使いやすい点も特徴で、デジタルメディアにもよりマッチする」
●BMW(本国では2020年3月から)
「新しいロゴは視覚的スタイルを、よりデジタル世代に相応しい携帯で提供するものだ」
「二次元的な新しいロゴは、開放感と透明感も表しており、そこにはカスタマーがよりBMWの世界に入りやすくするというイメージや狙いも込められている」
「また、新しいロゴにはBMWがクルマを中心とした世界から、テクノロジーやつながりを重視したものに移行するという意図もある」
ちなみに、VWとBMWの新しいロゴは、日産の新しいロゴとは異なり、インターネットに代表されるコミュニケーションツールに使われるもので、クルマそのものに付けられるものではない。
そうした違いはあるが、三社のロゴ変更に共通するのはデジタルメディアへの対応と、CASE(コネクテッド=つながる、オートドライブ=自動運転、シェア=カーシェアなど、エレクトリック=電動化)を代表とするクルマの大きな変化も期に、自社のブランドイメージをアピールしていく、という狙いだ。
また、日産の新しいロゴに関してはクルマに着けた際の機能面でも、平面的なものなので今後のクルマには今以上に装着率が高くなるミリ波レーダーを置くのに都合がいいというメリットもあるかもしれない。
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