■3代目 Z31(1983~1989年)
ロングノーズは維持しつつ、ボディをワイド化して3ナンバーボディに。ノーズはやや尖った形状になり、ヘッドライトはセミリトラクタブル。当時の印象は「アメリカンでワイルドにカッコよくなった!」だった。つまり外車っぽくなったということで、そのころの若者にとって外車なんて雲の上の存在だったので、全面的に「善」だった。
ただ、いま改めて見ると、それは大味さの増大でもあり、デザインの時間的耐久性はあまりなかった。モデル末期には、時代の流れにより、ロングノーズ・ショートデッキスタイル自体が古臭く感じられるようにもなっていた。
■4代目 Z32(1989~2000年)
それまでのロングノーズから、時代に沿ったキャブフォワードスタイルに大変身。全幅も1800mmまで広くなり、これまでのZから完全に脱皮し、新世代のGTスポーツカーに生まれ変わった。
最大の特徴は、ワイド&ローでグラマラスなフォルムだ。特にフロント部の左右の絞り込みは、従来の国産車ではありえない贅沢さ。4代目は「外車っぽい」ではなく、「まんま外車になった!」と感じた。
当時のインパクトたるや凄まじく、世の中がバブル景気に沸くなか、ジャパン・アズ・ナンバー1的な高揚感を与えてくれた。私も発表と同時に予約を入れて新車で買いました。2by2のターボ(MT)でした。
32Zのデザインは間違いなく傑作だったが、チーフデザイナーを務めた前澤義雄氏は、「もっと軽くて、筋肉質で、しなやかで、ひきしまった感じの、スポーツカーそのものにしたかった」「もっとホイールベースを縮めて、トランスアクスルにして、17インチを履かせて、オーバーフェンダーにしたかった。狙ったより乗用車的になってしまった」「肉付きがよすぎる。贅肉が多いんだ。だいたい、でかすぎた。やり残したことだらけだ」と漏らしていた。
確かに、登場から30年を経た今では、ちょっと重くたるんで見える気もする。
■5代目 Z33(2002~2008年)
ゴーン社長の号令によって2年ぶりに復活を果たしたZは、Zの雰囲気を残しつつ、前後オーバーハングを大幅に切り詰め、運動性能が高そうなスポーツカーフォルムに生まれ変わったが、全体としてはどこかパンチが弱く、中途半端だった。前澤義雄氏は、こう評している。
「初代Zのノーズが低く伸びやかなのは、フロントに長いオーバーハングがあったからだ。同じプロポーションをショートオーバーハングでやろうとするから、こうなる。前が分厚くて、鈍重なイメージだ。絶対評価として、カッコいいとは言えない」
■6代目 Z34(2008年~)
先代のホイールベースを100mm切り詰め、全長は短く全幅は広くなり、さらに本格派のスポーツカーフォルムに進化。前澤さんは、「本当はこれくらいのサイズのZが作りたかった」と肯定しつつ、「GTカーのデザインのまま、コンパクトで機敏なスポーツカーに仕立てたことで、ただドロッとした感じになり、みすぼらしく見える」と、スタイリングは酷評した。
ヘッドライトやテールランプの形状は、無意味にツンツンしたブーメラン型で、初代のシンプルなディテールとは大きくかけ離れていた。前澤氏はこれについても、「切り絵の切れっぱしのようで、ただ浮いている」とバッサリ。
コメント
コメントの使い方