■トヨタ1強で自動車メーカーに求められる危機感
このように小型/普通車の登録台数を見ると「トヨタvsそのほかのメーカー」という図式で、トヨタが圧勝している。登録台数ランキングのトップ争いも「トヨタの敵はトヨタ」だ。
ライズとカローラシリーズが、身内同士で2位争いを展開する。今後仮にヤリスクロスの売れ行きが伸びて、ヤリスとライズが減っても、登録台数ランキングの上位から脱落することはない。身内同士の争いに負けても、他メーカーのライバル車に敗れることはないからだ。これは商品単体の優劣よりも、小型/普通車に費やせる販売力の違いに基づく。
そして今の小型/普通車市場におけるトヨタのひとり勝ちが続くと、他メーカーの今後が心配だ。軽自動車に対する依存度がさらに高まり、ブランドイメージも変わっていく。例えばホンダでは、国内販売の50%を超える軽自動車の販売台数に、「フィット」と「フリード」を加えると、国内全体の約80%に達する。もはやホンダは「小さなクルマのメーカー」だから、ミドルサイズ以上の車種が削減に向かう心配もある。
日産は現時点では電気自動車の「アリア」「新型フェアレディZ」を発表して勢いを得たが、軽自動車比率が50%を超えると新型車の投入に影響を与える。
ホンダ「ヴェゼル」がフルモデルチェンジを行ったり、日産「キックス」がノーマルエンジン搭載車を割安な価格で投入するなど、ヤリスクロスを脅かす新型車が欲しい。そうしないと、国内市場全体と各メーカーごとの両方で、小型/普通車の販売バランスが崩れていく。
余談だが、販売ランキング順位の信頼性も下がる。各車種の商品力だけでなく「トヨタ車であること」も好調に売れる要因になり、ランキング順位を押し上げるからだ。販売実績はクルマ選びの参考に留め、いろいろな車種を試乗して、ご自分に最適な1車を見つけていただきたい。
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