■消滅の可能性ありも 簡単に切れない日産の御家事情
このように安全面を含めて旧態依然としたエルグランドを売り続けるなら、廃止する方法もあるが、それもできない。1カ月平均で約560台の販売規模は、クルマが売れない今では、廃止するには惜しいからだ。
しかもエルグランドは、売れ筋の価格帯が370~450万円の高価格車になる。セレナの300~360万円を大幅に上まわり、メーカーと販売会社の双方にとって利幅が大きい。これも廃止しにくい理由だ。
以上のような事情により、エルグランドは発売から10年を経ながら、フロントマスクを刷新するマイナーチェンジを実施した。外観が変化すると、従来型からの乗り替えも促しやすいからだ。
一般的に車種を継続的に存続させる場合、遅くとも発売から10年後には、フルモデルチェンジを実施する。10年後にマイナーチェンジを実施したエルグランドは、フルモデルチェンジを行わずに消滅する可能性も考えられる。最終型のエスティマも、発売の10年後にフロントマスクを大きく変えるマイナーチェンジを実施して、その3年後に終了しているからだ。
ただトヨタの場合は、エスティマと同サイズのミニバンに、高人気のアルファード/ヴェルファイアがある。そうなれば市場の縮小に応じてエスティマを廃止するのも理解できるが、日産は事情が違う。エルグランドは唯一の上級ミニバンで、フーガの1カ月平均の登録台数が約90台、シーマは10台少々まで落ち込んだ今、実質的に日産の最上級車種にも位置付けられる。
従ってエルグランドの存在感と国内市場で果たす役割は、今でも大きい。今後の日産は国内市場に改めて力を入れる方針を打ち出しているので、エルグランドも前向きにフルモデルチェンジして欲しい。生まれ変わった新星エルグランドを待っているユーザーも多い。
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