三菱エクリプスクロスPHEVはトヨタRAV4 PHVに喰らいつけるのか!??

文句は「価格だけ」の、RAV4 PHV

 RAV4 PHVのシステム最高出力は225kW(306ps)。時速0-60マイル(0-96km/h)加速は6.0秒と、RAV4 PHVはRAV4史上、最速のモデルだ。燃費も、RAV4ハイブリッドの20.6km/L(WLTCモード燃費)に対し、RAV4 PHVは22.6km/Lと、10%近く改善をしている。

 GA-Kプラットフォーム採用による走りの質感と、本来のRAV4が持つ、オンオフ問わずにどこまでも走れそうな逞しさ、そしてハイブリッドを超える燃費、そして圧倒的な加速力。マルチパーパスビークルとして、RAV4 PHVは、重箱の隅の欠点さえ、見つけるのが難しい仕上がりのクルマだ。

RAV4 PHVは、年度内の生産分が終了しており、2020年10月20日時点でも、受注再開の目途は立っていない
RAV4 PHVは、年度内の生産分が終了しており、2020年10月20日時点でも、受注再開の目途は立っていない

RAV4以外にも「脅威」がある?

 新型エクリプスクロスPHEVの魅力は、「ダイナミックフォースのコンセプトに沿った、厳つい顔ながら流麗な、クーペデザイン」、そして「ツインモーター4WDのPHEVシステムによる走り」 「プラグインハイブリッドにしては比較的安い」ことだろう。

 プラグインハイブリッドのなめらかな走りは、エクリプスクロスPHEVも、RAV4 PHVも同条件となる。また、4WD制御も、システムの中身は違おうが、RAV4 PHVにも「ダイナミックトルクベクタリング」が仕込まれており、どちらが圧倒的に優れているか否かは、同条件で入念な比較テストしなければ、判別できない。

 となると、新たなデザインと約60万円の価格差、これがユーザーにどれだけ受け入れられるか、が、新型エクリプスクロスPHEVがどれほどRAV4 PHVに食らいつけるか、を占うポイントとなる。

 しかし、価格差に関しては、約500万円もするRAV4 PHVが、受注目標300台/月と少量ながらも、あっという間に年度内生産分の受注が埋まってしまったことを考えると、残念ながら、約60万円安い新型エクリプスクロスPHEVに、圧倒的なアドバンテージがあるとはいえない。

 残るはエクステリアデザインだが、新型エクリプスクロスPHEVが「クーペSUV」であるのに対し、RAV4は、野性味あふれるSUVだ。ここは、テイストが違うため、ダイナミックシールド顔のクーペSUVを好むユーザーには、新型エクリプスクロスPHEVのほうに軍配があがる可能性は高い。

 しかし、ここにも、脅威がある。「クーペSUV」の王者、ハリアーのプラグインハイブリッドモデルの可能性だ。

今大人気のハリアーに、もしプラグインハイブリッド仕様が出てきたら、RAV4 PHVに続いてヒットする可能性は大きい
今大人気のハリアーに、もしプラグインハイブリッド仕様が出てきたら、RAV4 PHVに続いてヒットする可能性は大きい

 ご存じの通り、ハリアーは、RAV4とプラットフォームを共有している。ということは、近い将来、ハリアーにも、プラグインハイブリッドが設定される可能性がある。もしそうなってしまうと、「(仮)ハリアーPHV」が、クーペSUV+プラグインハイブリッドカテゴリでも、頭角を現す可能性が大きい。

 もしそうなったとき、三菱に次の一手はあるのか、もしくは、協業関係にある日産が新型プラグインハイブリッドのSUVを出してくるのか。いずれにせよ、トヨタ一強をこれ以上許すわけにはいかない国内各社は、やるしかないのだ。

 プラグインハイブリッドはこれから拡販期を迎える。各社の勢力争いは、さらにヒートアップしてくることだろう。

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