マツダ新型MX-30 期待の新星クーペSUVが抱える懸念と思惑

■優位性に欠ける価格がさらに現場の頭を悩ませる

 ベースの車両本体価格はFF車が242万円、4WD車は265万6500円である。これをCX-30と比べるとこちらは239万2500~403万6980円、2LのスカイアクティブGだと239万2500~303万5000円であり、MX-30のほうが安い印象もある。

 ところが、ベース車だけを購入すると、走行に必要な基本装備品しかついていないので、これにベーシックな機能を充実させたベーシックパッケージ(7万7000円)、安心の先進全装備プラスしたセーフティパッケージ(12万1000円)、360度セーフティパッケージ(8万6880円)、運転のしやすさと快適性をさらに高めるユーティリティパッケージ(8万8000円)。

 さらに、デザインをよくするインダストリアル・クラシックパッケージ/モダンコンフィデンスパッケージ(各11万円)、サウンドを楽しめるボーズサウンドシステム(7万7000円)、自分らしさを表現する2つのカラーコーディネイトのインテリアパッケージ(8万8000円)、さらに個性的に彩るエクステリアパッケージ(7万7000円)など、全部装着してカスタマイズするとFF車では314万4880円となる。それでもCX-30のスカイアクティブX搭載車よりも約50万円安い計算である。

MX-30のインパネ。直線的でシンプル&シックにまとめられた造形が特徴
MX-30のインパネ。直線的でシンプル&シックにまとめられた造形が特徴

 首都圏にある某マツダ店で、MX-30のベース車に、一般的にニーズが高いと思われるベーシック、セーフティ、ユーティリティ、360度セーフティ、インダストリアルのモダンの各パッケージに、付属品&オプションのナビSDカード、ETC、ドライブレコーダー、フロアマット、ドアバイザー、コーティングを付けて弾いて貰うと、支払い総予算は340万円強となった。

 1回目の値引き提示額は、10万円程度と引き締めている。納期は2020年12月で、年内納車はまだまだ間に合う状況にある。販売店各社はとりあえず、「CX-5」「CX-3」「CX-8」などのマツダユーザー、他銘柄ではトヨタ「RAV4」、日産「エクストレイル」、スバル「フォレスター」、ホンダ「CR-V」など同クラスからの代替えを目指し拡販攻勢をかける構えである。

 ただSUVのジャンルにありながら、乗用車感覚も盛り込んだ中途半端なコンセプトということもあり、どういう層に売り込みをかけたらよいのか戸惑う営業関係者も目立つ。

独自の観音開きを採用するMX-30。見た目はユニークだが、ニッチ層を狙いすぎて、販売店が苦心することとなっている
独自の観音開きを採用するMX-30。見た目はユニークだが、ニッチ層を狙いすぎて、販売店が苦心することとなっている

 首都圏のマツダ店、アンフィニ店、オートザム店を回ってみるとショールームにはMX-30の「100周年特別仕様車」を展示している風景をよく見かける。2021年3月末までの限定販売でカタログモデルと同時に受注の受付を行っている。

 ノーマルタイプは展示用のほか、試乗車は各販社1台程度で、各拠点持ち回り方式で配置しているケースがほとんどどである。それ程売れないとみて自社での登録台数は最低限に抑えるようにしているようだ。

 本命は2021年1月発売予定のピュアEV仕様(こちらはマツダも正式に発表している)と、さらにそのあとに登場するレンジエクステンダーEV仕様となりそうだ。

■販売の現場が語る苦戦と期待

●証言:首都圏マツダ店営業担当者
 MX-30は当面2Lエンジン搭載のマイルドハイブリッド車が先行して発売になっているが、お客さんの反応は今一歩で当店ではまだほとんど売れていない状況だ。

 CX-30のほうがコンセプト的にはっきりしたSUVで、こちらのほうに興味を寄せるお客さんが多い。

 観音開きだとかっこよいクーペスタイルにしやすいが、この手のSUVはお客さんが少なく売りにくい傾向がある。2021年1月発売になるピュアEV仕様が発売になれば、こちらが販売の中心になると予想している。

【画像ギャラリー】本命は2021年1月登場のピュアEV!? マツダが送り出したクーペSUV「MX-30」を詳しくチェック!!

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