水素はディーゼルの代替? EVでは実現不可? FCVが普及確実なワケ

■「ガソリンエンジンを電気に。ディーゼルは燃料電池に」

長距離を終日稼働で走行するトラックやバスの代替としてFCVはEVには賄えない役割が期待されている(写真=トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラック)
長距離を終日稼働で走行するトラックやバスの代替としてFCVはEVには賄えない役割が期待されている(写真=トヨタと日野が共同開発する燃料電池大型トラック)

 またディーゼルエンジンより圧倒的に軽くてコンパクト。新型MIRAIに搭載されている燃料電池は重さ32kgで174馬力を発生する。

 2個搭載すれば348馬力と大型トラック用のディーゼルエンジンに匹敵。3個搭載すると522馬力で、大型トレーラーヘッドや高速バスなどのパワーユニットとして使える。3個使ったって96kg!

 同等の出力をディーゼルエンジンで出そうとした場合、1200kgくらいになってしまう。空気ポンプやインバーター、モーター、水素タンクの重量全てを合計したって3分の1くらいの重さで済む。

 しかも、排気ガスを出さないばかりか、超絶静か。エンジンサイズだってコンパクトになるため、運転席を低い位置するという手もあります。

 その他、国家単位でカーボンニュートラルを目指すとなったら、漁船など小型船舶用や建設機械、鉄道用車両なども地球温暖化ガスを出さないようにしなくちゃならない。

 これまた電池だと大量に搭載しなければないようなパワーユニットの代替は燃料電池しか無いと考えていいだろう。つまり「ガソリンエンジンを電気に。ディーゼルは燃料電池に」です。

■新型MIRAIが担うFCVのコストダウンと普及への道筋

新型MIRAIは年間4万台程度なら生産可能。大量生産できればコストは大きく減らせる
新型MIRAIは年間4万台程度なら生産可能。大量生産できればコストは大きく減らせる

 ところが、である。トラックやバスの生産台数は乗用車と比べ圧倒的に少ない。年間50万台規模。すぐ全台数を燃料電池に切り換えればいいけれど「徐々に」となったら最初はホンの少ししか売れず、大量生産できない。

 それだと燃料電池のコストダウンは難しく、いつまで経っても普及しないことになってしまう。

 乗用車なら最初から生産規模が大きくなる。新型MIRAIは年間4万台くらいなら作れるそうな。この程度の規模になってくればコストダウンが大きく進む。

 数年内に燃料電池はディーゼルエンジンと同等の価格までコストダウンすると思う。ディーゼルエンジンの代替として採用しようというケースも増えてくることだろう。

 同時にMIRAIのような大型乗用車を電気で600km走らせようとすれば、今の技術レベルでは電池を700kgくらい搭載しなければならない。

 だったら燃料電池の方が軽くてコスト的にも勝負できる。電気自動車より燃料電池車の方が安いです。新型MIRAIをたくさん売れば燃料電池のコストダウンになり、ディーゼル代替が進む。

 日本のMIRAIはMIRAIが背負っている?

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