なぜ軽自動車まで2トーンカラー広まった?
それでも、軽自動車にまで2トーンカラーを導入できるようになった背景には、消費者の要望が高まっていると複数のメーカー広報が語っている。
軽自動車は、本来はクルマによる移動を最低限実現する廉価な実用性が求められる。そうしたなかで、スズキのアルトやダイハツのミライースが、基本的な需要を満たしてきた。
同時にまた、いま絶大な人気を誇るスーパーハイトワゴンのように、生活と密着しながらも、軽自動車規格のなかで最大の空間や、居住性の高さなどを好む消費者が増え、同時にまた、アルトワークスのような高性能車や、ダイハツ コペンのような遊び心を満たす車種もある。
近年のSUV人気を受けてハスラーやタフトといった車種も追加されて、実は、軽自動車は幅広い車種の選択肢を持っている。そうした選択肢のひとつに、2トーンカラーも当てはまるのではないか。
光る創意工夫と2トーンカラーが示す可能性
とはいえ、軽自動車では大幅な価格上昇は抑えなければならない。そこで、屋根との境界や、外板の切れ目などをうまく活用した設計を基に、2トーン化していくことで品質も満たすようにしている。
たとえばアルトの2トーンバックドアなどは、そもそも部品として異なるのだから、色違いを組み合わせやすい斬新な発想だ。
ダイハツのDラッピングは、樹脂のシートを型でつくり、あとから屋根に熱加工して密着させる手法で2トーンを実現している。そうした創意工夫が次々に生まれているのも、2トーン人気の高まりが開発者たちの意欲を高めているといえそうだ。
2トーンがもてはやされる理由として、やはりクルマ選びは見た目が第一という点も大きいだろう。性能や機能が優れていることはもちろん重要だが、格好よくお洒落に乗りたいとの気持ちは誰もが強く持っているはずだ。
象徴的なのが、商用軽自動車も外装色の選択肢が増えていることだ。働くクルマも、使う喜びを味わえるようにした取り組みである。
2トーンカラーへの要望は、多くの消費者がクルマに興味を持っている証ともいえる。若者のクルマ離れといわれて久しいが、多くの消費者に関心を持ってもらう手段の一つに2トーンカラーもあるはずだ。
個人が自由に移動する手段の一つとしてクルマの価値はあるが、持つ喜びがあるのも事実だ。どのクルマを選ぼうかと迷う選択肢が多いことは、いいことだと思う。自動車メーカーも、消費者に喜んでもらえるなら、苦労の甲斐があるのではないか。
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