あえてデザイン据え置き! 名車N360の系譜を引くホンダの“個性派”N-ONEの新型モデルが世界初公開。
ホンダの軽乗用車は、N-BOX、N-WGN、N-ONEのNシリーズと、ミッドシップスポーツカーのS660だ。このうち、N-BOXは2017年にフルモデルチェンジされ、同年から国内販売の1位を守り続ける。
2020年1〜8月に販売されたN-BOXの届け出台数は、国内で新車として売られたホンダ車の32%を占める。物凄い人気で、2019年にはN-WGNも現行型に一新された。
そしていよいよ、N-ONEがフルモデルチェンジを受ける。エンジンやプラットフォームは、先にフルモデルチェンジされたN-BOXやN-WGNと共通だ。
通常、モデルチェンジといえば少なからず外観を一新するモデルが多いなか、常識破りの“ほぼ同じ見た目”となった新型N-ONEはどう変わったのか?
文:渡辺陽一郎
写真:HONDA
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N-WGNとどう違う? N-ONEの位置づけと現在地
N-ONEでは、Nシリーズにおける車種の位置付けが大切になる。そこをハッキリさせると、N-ONEの特徴や開発の狙いも見えてくる。
まず大人気のN-BOXは、全高が1700mmを上まわり、後席側のドアはスライド式だ。後席の足元空間は軽自動車では最大級で、Lサイズセダンを上まわるほど広い。ベビーカーを積んだりする子育て世代のユーザーに適する。
N-WGNの全高は、1600〜1700mmの間に設定され、後席のドアは横開き式だ。4名乗車は充分に可能だが、後席はN-BOXほど広くない。後席を畳んだ時の荷室容量も同様で、自転車を積むような用途にはN-BOXが適する。
その代わりN-WGNはN-BOXに比べて車両重量が約40kg軽く、燃費も優れている。価格はN-BOXに比べて15〜18万円安い。
N-BOXとN-WGNが設定され、なおかつ標準ボディとエアロパーツを装着したカスタムも選べると、軽乗用車の実用的なニーズは網羅できる。
日産の軽乗用車も、N-BOXに相当するルークスと、N-WGNと同様のデイズだ。N-BOXとN-WGNがあれば、N-ONEは必須のラインナップとはいえないだろう。
そのために2020年1〜8月の届け出台数は、N-BOXが月平均で1万6524台、N-WGNは5763台であったが、N-ONEは139台に下がる。今年はモデル末期だったことから、2019年の数字を見ても1420台だ。
実用性より趣味性!個性派を強く打ち出した新型N-ONE
つまりN-ONEは、Nシリーズの中では、内外装のデザインや運転の楽しさを重視する個性派に位置付けられる。車内は相応に広いが、実用指向のN-BOXやN-WGNとは本質的に異なる。
スズキでいえばハスラー、ダイハツならタフトのような存在だ。クルマの造りはまったく違うが、アルトラパンやミラトコットも個性派で、N-ONEに近い位置付けになる。
そこでN-ONEは、外観を個性的に、内装は上質に仕上げた。新型N-ONEの外観を見ると、従来型に良く似ている。もともとN-ONEは、1967年に発売されたN360をモチーフにデザインされ、新型も丸型ヘッドランプなどの特徴を踏襲した。
ルーフの形状は、従来型は厚みのある標準タイプ(全高は2WDが1610mm)と、立体駐車場を利用しやすいローダウン(同1545mm)の2種類を用意した。新型は外観写真を見る限り、ローダウンのみと受け取られる。
そうなれば都市部で重視される立体駐車場の利用性に加えて、低重心になって走行安定性にもメリットを与える。
内装では前席にセパレートシートを採用した。N-BOXやN-WGNは、N-BOX・EXを除くとベンチシートでリラックス感覚を重視するが、N-ONEはセパレートタイプでスポーティな感覚を重視する。
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