21世紀に入って加速したブレーキの電子制御化
また、この頃から日本車はEBD(電子制御制動力配分、前後のブレーキ力配分を電子制御制で行うもの)を装備しはじめた。
21世紀に入ると横滑り防止装置の時と同様に、トヨタが初代エスティマハイブリッドに「ECB」、ベンツもW211型のEクラスに「SBC」という横滑り防止装置などとを統合制御を行う電子制御ブレーキを搭載。
いずれも発展性は大きく、トヨタは問題なかったのだが、ベンツは大リコールを出し、マイナーチェンジの際に残念ながら廃止してしまった。
2000年代中盤にはレクサスLSの初代モデルなどでパーキングブレーキの操作をスイッチ操作で行う電動パーキングブレーキが登場。
電動パーキングブレーキは省スペースなどのメリットのほか、ブレーキホールド(ブレーキを使った停止状態の保持)も可能なため、停止まで対応する先行者追従型のアダプティブクルーズコントロールの普及にも貢献している。
また、この頃からSUVなどでは横滑り防止装置を応用し、滑りやすい道やオフロードなどでの駆動輪片輪のブレーキ制御を利用したLSD的な機能を持つモデルも出始めた。
2010年代に入るとカメラやミリ波レーダーの情報を基盤に、衝突の危険がある際には横滑り防止装置を利用してフルブレーキまで掛ける自動ブレーキが実用化され、BMW i3や日産のe-POWERと現行リーフでは回生制動を積極的に利用し大きな減速Gも起こせるワンペダルドライブも登場した。
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今後のブレーキの進化としては、電子制御ブレーキとモーターショーのコンセプトカーなどで見ることがあるブレーキキャリパーの電動化との組み合わせなどによる、より高度なクルマ全体とブレーキの統合制御が期待される。
ブレーキの負担というのは摩擦ブレーキだけのクルマでサーキットを連続周回した後だと、ディスクローターにタバコを当てるとすぐに火が点く、100km/hからフルブレーキを行うと0℃の水2Lが3秒で沸騰するなど、ものすごいエネルギー、熱量である。
それだけ重要な部分だけに、ブレーキの進化は振り返ると特に目覚ましく感じ、昭和の日本車に乗るとブレーキの効きやフィーリングの悪さを感じることも多い。
またブレーキがそういったパーツなのを考えると、ブレーキとタイヤだけはぜひ定期的に入念なメンテナンスを行ってほしい。
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