■アルファード&ヴェルファイアの販売台数の推移
ヴェルファイアが加わった2008年以降のアルファード&ヴェルファイアの販売台数の推移は以下の通りである。
2017年までは前述した月間販売目標台数でトヨタが想定したとおり、ヴェルファイアが優勢だった。
しかし、ビッグマイナーチェンジされた現行型3代目モデルのデリバリーが始まった2018年以降はアルファードが優勢となり、年を追うごとにアルファードとヴェルファイアの差は広がるいっぽうである。
特に2020年に入ってからは、3月まではヴェルファイアもアルファードの3分の1程度は売れていたものの、4月以降その差はさらに広がっており、現在のヴェルファイアの販売台数はアルファードの10分の1に近いという強烈な形勢逆転が起きている。
■なぜこんなに差が開いたのか!?
アルファードとヴェルファイアは実質的に同じクルマなうえに、ヴェルファイアは前述したようにディーラー数が多かったネッツ店扱いなのに、ビッグマイナーチェンジ以降にアルファード優勢になった理由は、エクステリアのデザインに尽きる。
確かにビッグマイナーチェンジによる新鮮さ、新車効果は変化の大きいアルファードのほうが強かったのに加え、アルファード&ヴェルファイアにクラウン的な要素がより求められるようになってくると、クラウン的なのはアルファードのほうだろう。
さらにヴェルファイアに対して追い打ちを掛けるように、2020年4月からは2019年4月から東京地区のトヨタディーラーで始まった、原則全ディーラー全車種扱いが全国展開となった。
ディーラーに聞いてみると、これにより原則全ディーラー全車種扱いが始まる前は、ヴェルファイアの既存ユーザーが本当はビッグマイナーチェンジ後のアルファードに乗り換えたかったとしても、「今までのお付き合いもあるからヴェルファイアからヴェルファイアでもいいか」とヴェルファイアを選ぶケースもそれなりにあったという。
しかし、原則全ディーラー全車種扱いとなれば、今までのお付き合いはそのままにアルファードに乗り換えることも可能となり、アルファードが圧勝となるのもよくわかる。
なお、ここまでアルファードの圧勝となっているのを見ると「アルファードのほうにディーラーの力が入っているのではないか?」という気もしてしまうが、ディーラーに聞いてみると「特にそういったことはなく、お客様から指定のあったほうで商談を進めます。ただ、お客様がアルファードとヴェルファイアで迷われている場合には『リセールバリューなどアルファードのほうが何かと無難では』とアドバイスし、結果的にアルファードで商談を進めるというケースはあります」という声もあった。
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■まとめ
トヨタの原則全ディーラー全車種扱いの開始により、アルファード&ヴェルファイアのどちらかがなくなることは決定的だったにせよ、2018年あたりまでは「伝統のアルファードと、売れているヴェルファイアのどちらを残すか」というテーマは難しい課題だったように思う。
しかし、アルファード&ヴェルファイアの販売台数がここまで大きな差が付き、残るのはほぼアルファードという状況になっていることには、デザインがクルマの販売に与える影響の大きさを改めて痛感する。
同時に、ビッグマイナーチェンジ後のアルファード&ヴェルファイアの明暗は、歴史に残る「クルマ界の骨肉の争い(社内での競合)」として、今後話題になることも増えるのではないだろうか。
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