■なぜEVとPHVの売り方はわかりにくいのか!? その真相
このようにEVとPHVの売り方や納期が曖昧でわかりにくい理由は、生産や販売する台数が少ないからだ。RAV4 PHVは1カ月に300台、ホンダeは83台という規模だから、発売しても割り当てられた台数が短期間で埋まってしまう。
なぜここまで台数が少ないかといえば、まずは生産規模の問題がある。EVには容量の大きなリチウムイオン電池などが必要とされ、その供給規模にも限りがある。生産が軌道に乗ったハイブリッドのように、大量に生産することは難しい。
ふたつ目は、EVやPHVは地域によって供給台数に差があり、日本はほかに比べて概して少ないことだ。例えばホンダeの年間販売計画は、日本では1000台だが、欧州では1万台だ。日本に供給される台数は、欧州の10%に留まる。その理由を開発者に尋ねると、以下のように返答された。
「ホンダeは、欧州のCAFEに対応することを当面の重要課題として開発されました。そのために欧州に積極的に投入します。ホンダeを販売する地域は、今のところ日本と欧州だけです」
RAV4 PHVも欧州で販売され、スズキに向けて、OEM車の「アクロス」も供給する。レクサス UX300eも同様で、欧州に重点を置く。ちなみに欧州では、「IS」などほかのレクサス車の多くも、ハイブリッドのみの設定になった。燃費規制もあり、モーターを搭載しない従来型のノーマルエンジン車は品ぞろえが減っている。
以上のようにEVやPHVは、新しいカテゴリーだから、もともと生産規模が小さい。しかも燃費規制の迫っている欧州の販売比率を増やしたから、日本市場に向けた供給台数がますます減り、受注方法などもわかりにくくなった。
ただしEVやPHVをせっかく用意したのに、納期がわからなくて購入できないのは困る。特にホンダeは全長が3895mmと短く、後輪駆動を採用するから前輪の最大舵角も増えて、最小回転半径は4.3mだ。小回り性能が優れ、コンパクトカーのなかでも特に運転しやすい。日本の道路環境にピッタリなEVだ。
日本では総世帯数の約40%が集合住宅に住むから、充電が必須条件になるEVは、所有しにくい面がある。それでも需要に対応できるだけの供給は行って欲しい。日本でもモーターを併用したクルマが求められ、急速充電器の設置も進んできた。EVやPHVは、欧州だけの商品ではなく、日本でも高い価値を発揮する。
コメント
コメントの使い方