原油高騰と感染症拡大の需要減で対消滅!?? 取材で判明 ガソリン価格とスタンドの実情と行方

コロナ禍の影響はどうだったか?

 それでは、日本市場全体でのガソリン価格のコロナ禍の影響を見ていこう。2019年12月末の中国武漢で発生した新型コロナウイルス感染が日本でも影響が出始めた2020年の2~3月の時点では、国際経済ではOPECプラスの原油減産やイランの経済制裁などによって、原油価格は1バレル50ドルあたりの高値で推移していたため、日本でのレギュラーガソリン価格も140円台まで上昇していた。

 ところが3月に入って新型コロナウイルス感染拡大の影響が表われはじめ、日本では4月の緊急事態宣言の発動によって、市場がパニック状態に陥ってガソリン価格も上がっていくことが懸念された。

 しかし、前述の原油価格の落ち込みによってガソリン価格が140円後半から110円台まで低下したことで、外出自粛などによる需要の落ち込みを緩和することができたのか、ガソリンの販売量そのものは大きな影響を受けずに済んだようだ。

 前出のガソリン価格比較サイト「gogo.gs」のここ1年のレギュラーガソリンの全国平均現金価格の推移を見ると、2020年5月10日に119.9円という底値を付けたが、2020年で最も高値だったのは1月19日の148.3円、そして2020年12月17日の価格は130.8円だから、改めてガソリン価格の変動の大きさに驚かされる。

 いっぽうで、政府によって完全に社会活動の機能を停止する、いわゆる“ロックダウン”ではなかったことも大幅な需要の消失は免れたことが大きかったと想像される。

2019年12月~2020年12月の全国平均のレギュラーガソリン価格動向グラフ(出典:gogo.gs)。現金価格は2020年1月19日の148.3円を境に価格が急落し、5月10日には119.9円の底値。その後、11月15日に128円まで下がったが、それ以降は上昇し、12月17日時点では130.8円
2019年12月~2020年12月の全国平均のレギュラーガソリン価格動向グラフ(出典:gogo.gs)。現金価格は2020年1月19日の148.3円を境に価格が急落し、5月10日には119.9円の底値。その後、11月15日に128円まで下がったが、それ以降は上昇し、12月17日時点では130.8円

どうにか耐えた? 石油元売り

 気になるのは、大手石油元売り3社が経営的に儲かっているのかどうかだ。新型コロナウイルスの影響をまともに受けた、経済指標のいわゆる2020年第2四半期での3社の業績(発表内容は2020年11月の中間決算時)は、大まかにいって次のようになった(カッコ内は前年同期比)。


■石油元売り大手3社 第2四半期 業績
エネオスホールディングス(以下、エネオス)、出光興産(以下、出光)、コスモエネルギーホールディングス(以下、コスモ)
●エネオス 売上高:3兆3623億円(33.6%減)、営業利益:889億円(32.1%減)、純利益:364億円
●出光興産 売上高:2兆157億円(32.8%減)、営業利益:31億円(同94.8%減)、純損益:321億円※
●コスモ 売上高:9694億円(26.6%減)、営業利益:87億円(66.8%減)、純損益:9億円※
(※赤字額)

 説明を加えておくと、収益の総額から費用の総額を差し引いたものが純損益となる。純損益がプラスであれば、収益の総額が費用の総額より大きければ純利益とされ、マイナスであれば(費用の総額が収益の総額を上回れば)純損失となる。

 それぞれの業績については、出光は昭和シェル石油との合併の影響などによって赤字、コスモ石油はわずかに赤字、エネオスはかろうじて黒字となった。ただし、これらの結果はそれぞれの企業の経営事情が複雑に絡んでいるようだ。

 赤字に転落した出光興産は2018年に立ち上げたベトナムの新製油所建設への投資や2019年の昭和シェル石油との合併に関連するコストなど、経営全体に絡む要素が大きかったようだ。

 コスモは収益に関する構造改善を進めるなどの効果もあって持ち直しており、エネオスについては、販売上での中間マージン改善や在庫評価(原油・ 製品の取得額、期末時点の在庫価額)に収益の改善が図られたと推測される。

 ここで「在庫評価」について簡単に説明しておくと、石油元売り各社は政府から石油の備蓄が義務づけられており、これが原油価格の変動によって価格が変わってくるために、収益に反映される金額が変動することになる。

 要は原油相場によって利益が変化するわけで、原油価格が高騰すれば、それだけ利益は増えることになる。

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