総務省に旧車の税制は今後どうなるのか聞いてみた
さて、今般メディアを騒がせている「2030年~2035年までに純エンジン車の新車販売禁止」の話題についてだが、今後、今所有しているガソリン車が、乗れなくなる日が来るのか?
自動車の中古車の車検制度や税制に関する質問を投げかけようとすれば、ご想像の通り、車検制度については国土交通省の自動車局、税制については総務省と見事な縦割り行政になっている。
ちなみにいわゆる「エコカー減税」については後述するが、2021(令和3)年度政府予算で継続が決まり、2年後の2023年4月まで延長され、新たな燃費規準として2030年度燃費規制が導入されることになった。
ここで旧車オーナーが心配しているのは、旧車の税金がさらに高くなるのか、ということ。税制を扱う総務省に訊ねると「案件として上がってきていない」とコメント。
日本では車検が製造年次の排ガス基準をクリアすれば使用し続けることは周知の通りだが、今後の日本の自動車税の方向性を訊ねても、未検討というか“ほったらかし”といえる状況にあるようだ。
振り返れば、「自動車税のグリーン化税制」の一環として、2019年に「自動車取得税」が名を変えて「環境性能割」としていわゆる“重課税”は生き残ることなった。
エコカー減税は2年延長
ここで、燃費性能に応じて車検時に課せられる自動車税を優遇する「エコカー減税」の改定について概略を触れておこう。
期限については、2021年5月から2年間延長する方針を決定した。現行基準よりも4割程度厳しくなる新たな2030年度燃費基準を採用。新燃費基準の60%を下回るガソリン車やハイブリッド車については、エコカー減税の対象から外すことになった。
加えて、2021年5月以降は電気自動車とプラグインハイブリッド車、燃料電池車、天然ガス自動車は一律で免税措置を受ける一方、ガソリン車とハイブリッド車は、2030年度を目標とする新しい燃費基準の達成度によって減税率が異なる。
具体的には、2016年度実績値に対する燃費改善の達成率が60%に届かないと減税措置を受けられず、逆に20%上回れば1~2回目の車検時の自動車重量税が免税になるとのことだ。
これまで免税対象だったいわゆるクリーンディーゼル車は、2023年度からガソリン車と同じ取り扱いになる。
2021年度は免税を初回の車検に限定。2020年度を目標とする燃費基準を達成している場合には2023年4月まで、そうでない場合は2022年4月まで適用するという。
ちなみに、現状では新車販売車両の7割程度が減税措置の対象になっており、「減免対象車が現状から減少することのないよう配慮した」(総務省、自動車税務担当者)としている
ヒストリックカーが優遇される日は遠い?
日本では車齢が13年を超える所有車では優遇税制など夢の話で、自動車税が10%から13%に増加することで新車への買い換えを促すかのような税制によって、いわば自然淘汰されていく運命にあると言わざるを得ない。
日本の自動車メーカーでは、旧車のレストアや復刻部品の供給を始めている。ホンダのNSXの「リフレッシュプラン」の実施を契機として、近年ではトヨタのスープラやトヨタ2000GT、マツダのNAロードスター、RX-7、日産のスカイラインGT-Rなど、往年の名車を対象とする復刻部品の販売やレストア関連プロジェクトも始動している。
日本でのヒストリックカーを保護するような動きが、欧州の”文化”といえるレベルに達するにはまだまだ時間がかかるだろうが、ドイツレベルとはいかないまでも、少しずつでも政府やメーカーによるヒストリックカーオーナーに対する税制面を含めたサポートが、拡大していくことを願わずにはいられない。
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