■60名中25人が1位に、23人が2位に
そんな状況の中、COTYを受賞したのはレヴォーグだった。437票も取り、320票のフィットに大差をつけている。60人いる選考委員のうち25人が最高の10票を入れてます。レヴォーグを2位にした選考委員が23人! 1票も入れなかったのは3人のみ。絶対的な得票数もさることながら、高く評価した選考委員の数だって多かったように思う。
(編集部注/日本COTYの配点は、60名の選考委員がそれぞれ25票(点)の持ち点を、10台の候補車(10ベストカー)に割り振る仕組み。必ず1台のみに10票を入れ、残り15票を4台に割り振るシステム)
こうなると気になるのが「はたしてそんなに良いクルマだったのか?」ということ。
ちなみに私は(レヴォーグに入れたのは)8票。10票をヤリス3兄弟に投じた。まずその理由から紹介してみたい。
COTYのWebサイトの名簿に、なぜ最高得票を入れたのか理由が出ている。ここで挙げた理由を読むと、なぜレヴォーグ満票じゃなかったか解っていただけるかと。
以下、引用したい。
「日本とヨーロッパでCAFEに代表される厳しい厳しい燃費規制が始まった。結果、多くのメーカーは燃費重視のエンジンしかラインナップできなくなっています。そんな中、トヨタのみエンジンだけで走る高性能車を出してきた。トヨタで販売しているクルマ全体の環境対応度がキッチリできているという証明のようなもの。
さらに人気のクロスオーバーや、驚くほど燃費の良い量販車もシリーズに含まれている。クルマにとって重要な環境と楽しさのバランスが見事に取れていると思います。個人的には多くのメーカーがCAFE対応に苦しむ中、クルマ好きにとって大切なスポーツモデルをホンキで作ってきたことだけで満点を投じたいと思う」。
昨今カーボンフリーや電動化車両が話題にあがるようになってきたけれど、それ以前の課題として燃費を改善しなければならない。2020年CAFEの次にやってくる2030年CAFEをクリアしようとするなら、半分くらいをプリウスと同等以上の燃費とし、残る半分は電気自動車かPHVにしなければならない。それくらいハードル高いです。
ヤリス3兄弟はこのハードルを超えようとしながら、ハイパワーモデルまで出してきた。
【画像ギャラリー】 2020年は「豊作」だった? ヒット車多数の主なデビュー車たち
■純ガソリン車であるレヴォーグの短所と長所
振り返ってレヴォーグのパワーユニットを見ると、いまだ電動化すらしていない。スバルは2017年まで5年間、開発のTOPだった役員が燃費対応技術に注力しなかったため、大きく大きく出遅れてしまう。「技術」をストロングポイントにするスバルとは思えないほど。
レヴォーグのタイミングでハイブリッドかPHVでも出せていれば、私も満票を入れた可能性大。2位に入れた選考委員仲間に話を聞くと、私と同じくパワーユニットの出遅れを指摘する声が多かった。とはいえ電動化することを前提で開発されている新世代エンジンはレギュラー仕様で燃費がいい。サンデードライバーなら納得出来ると思う。
以上弱点。
ストロングポイントはどうだろう。
誰もが「いいね!」と高く評価しているのは車体技術です。スペックからしてヨーロッパの最先端と並ぶ。ハンドルの手応えの質感に大きな影響を与えるデュアルピニオン式の電動パワステを始め、電動アシスト式のブレーキや、ZF製のダンパーなど普通の日本車じゃ使わない高機能パーツを投入。
成果はハッキリ出ており、走り出して30mで良さが解るレベル。また新世代アイサイトの豪華バージョンである『アイサイトX』を選ぶと、世界TOPクラスの自動ブレーキ性能に加え、渋滞時のハンズフリードライブ機能や、ウインカー操作だけで人間よりレベル高い安全確認しながら車線変更してくれる機能も加わる。
新型レヴォーグのハンドルを握っていると、上質で安心感があって快適なドライブを堪能できます。2020年で最も良いクルマだという評価は十分納得できると思う。
ただ少しばかり高価かもしれません。電動化パワーユニットを搭載し、最上級グレードにしか付かないZFのダンパーとアイサイトXが付いて今の価格スタートなら200点でしょう。
コメント
コメントの使い方