ドライバーの嘘をクルマは見抜けるのか 高齢者の事故解明と運転力維持のための方法


■身体能力が低下する高齢者 運転のために注意すべきポイント

 そこで筆者は「安全運転寿命を延ばすレッスン」(小学館)を2020年出版した。高齢者の事故対策の一環として免許返納があるが、公共交通機関が十分でない地域もあり、またクルマの運転を趣味としている方々への提言として書かせていただいた。その中からブレーキの踏み間違いはなぜ起こるのか? どうすれば予防できるのか? についてここに少し記そう。

 人は高齢化しやがて必ず亡くなる。ある年齢に到達したらいきなり死ぬのではない。事故や病気で亡くなる場合を除いて、衰えやがて死ぬ。事故や病気で亡くなるにせよ衰えは時間経過と正比例だ。これはホルモンの分泌量の低減とも関係がある。

 ホルモン分泌が減ることで気力や体力も落ちる。そして筋肉も落ちる。クルマの運転の中で筆者が重要視しているのが、このホルモン分泌低減によって体幹筋が衰えること。

 体幹筋が衰えると運転姿勢が崩れる。しかし、多くのドライバーはそれまで慣れ親しんだシートポジションで運転している。つまり適正なドラポジ(ドライビングポジション)が得られなくなっているのだ。

 さらに椎間板の衰えは座高も変化させ、アイポジションも変わってしまう。最近のクルマは、衝突安全の立場からダッシュボードの位置が高くなり視認性も悪い。また、カーナビなど集中力を拡散させる装置も増えてきた。

 どうすればよいのか?

 まずシートポジションを再調整しよう。一度合わせたらよいというものではない。日々、微調整して今日の自分に最適なポジションを探す。

 そして体幹筋を鍛えるエクササイズを行おう。おすすめはプランク(フロントブリッジ)、サイドプランクなどなど。ネットで検索してほしい。

こちらがサイドプランク。膝をついた状態で90度曲げることで負荷を下げることができるので、高齢者でも無理なく行うことができる (kazoka303030@Adobe Stock)

 そして普段から踵を床に付けてアクセルとブレーキを踏み替える癖をつけよう。これは自宅の車庫でエンジンを掛けなくても練習できる。運転はゴルフなどと同じスポーツ。練習すれば必ずうまくなる。高齢者の人は今からでも、50代の人は始めておけば確実に運転年齢を延ばせるはずだ。

 クルマを運転する操作の中でいちばん重要なのはブレーキ。ブレーキをきちんと確実に踏めない人は免許返納すべきだ。

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