世界的に純ガソリン車を撤廃し、ハイブリッドや電気自動車へ切り替える動きがある中、国内でも菅政権が2050年カーボンフリーを宣言し、小池都知事も2030年までに「脱ガソリン車」を打ち出した。
それでは、EVメーカーや電池メーカーを多く持つ中国国内はどんな状況なのだろうか。中国事情に詳しい小林敦志氏に解説してもらった。
文・写真/小林敦志
【画像ギャラリー】緑ナンバーの新エネルギー車が増えた中国の街中と高速道路
■市場規模は日本の5〜6倍となる中国
中国汽車工業協会の統計によると、2020年10月の中国国内での新車販売台数は257.3万台となり、前年同期比でプラス12.5%となっている。そして2020年1月から10月までの累計新車販売台数は1969.9万台となり、前年同期比ではマイナス4.7%となっている。
ちなみに自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計における、日本での新車販売台数と比べると、10月単月では中国は日本の約6倍強、累計販売台数では約5倍だ。
10月単月でみると、中国国内の乗用車販売台数は211万台。さらにその内訳をみると、SUVが100.2万台と全体の半分に迫ろうとしており、中国国内では圧倒的にSUVの人気が高いことがわかる。
2020年1月から10月の累計乗用車販売台数のなかで“中国品牌(品牌はブランドの意味)車”の販売台数は575.2万台となり全体の37.1%でトップ。
外資で国別シェアを見ると、上からドイツ車、日本車、アメリカ車、韓国車、フランス車の順が定番なのだが、10月はわずかながら、日本車がドイツ車を抜き、外資ブランドではトップとなっている。
■中国政府は新エネルギー車などの普及促進を行っているが…
いまの中国を語るうえで欠かせないのが、新エネルギー車(新能源車/FCEV=燃料電池車、BEV=純電気自動車、PHEV=プラグインハイブリッド車)の存在。
中国政府は新エネルギー車については、ナンバー発給規制地域でも優先的にナンバープレートを発給するなど、インセンティブを設けて、新エネルギー車の普及促進を行っている。
しかし、2020年10月単月を見ても、211万台の乗用車販売台数のなかで、新エネルギー乗用車の販売台数は14.8万台となり、全体の5.7%ほどしか売れていない。
中国では2019年後半に、新エネルギー車への購入補助金を減額した結果、新エネルギー車の販売落ち込みが顕著となった。
そのなか、2019年秋に開催された広州モーターショーでは、それまで主役だった新エネルギー車に代わり、“国Ⅵ”と呼ばれる、欧州のユーロ6に匹敵する環境規制をクリアした、内燃機関を搭載するモデルの存在が目立った。
「政府筋でも、『補助金だけで新エネルギー車を順調に増やすのは難しい』との話を聞くこともあります」と事情通は語ってくれた。
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