地味だけど意外に良い!? 売れてないほうの「同門車」 密かな魅力

 相撲部屋に同門があるように、クルマにも同門がある。トヨタの全チャネル全モデル販売で、今後減少していく方向にはありますが、同じ車名でボディ形状が違う場合も含めれば、同門車が消えることはなかろう。

 同門と言えども、販売上はライバルであり、売れ行きには優劣がある。ただカーマニア的見地からすると、売れてない地味なモデルのほうがシブいんだけどなぁ、という場合は少なくない。

 今回はその「売れてない地味なほう」の魅力を発掘してみました! 野次馬のつぶやきみたいなものですが……。

文/清水草一
写真/MAZDA、SUBARU、DAIHATSU、TOYOTA、MITSUBISHI、NISSAN

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■ハッチバック“じゃない”ほう!? マツダ3セダン

マツダ3セダン/2020年11月販売台数:372台(ファストバック:同1006台)

 マツダ3と言えば問答無用にファストバック(5ドアハッチバック)。セダンの存在感はほとんどない。

 マツダ3ファストバックは、デザインへのこだわりが凄まじいが、それを際立たせているのは、リアピラーを中心としたリアセクションの処理である。

 マツダ3のデザインの魂はそこにある! セダンにはそれがナイ! マツダ3セダンって、わりと全然フツーに見えますから。

 ファストバックでは存在感バリバリのサイドパネルのインバース(凹み)も、セダンだとあんまり目立たない。ファストバックだとサイドパネル全体がひとつの彫刻のように見えるけど、セダンだとそこまでの一体感はない。

 マツダ3最大のウリはデザインだ。SKYACTIV-Xがスカだっただけに、デザインが頼りである。セダンの場合、そのデザインの存在感があんまりナイ! 結果、カーマニア的にもセダンの存在はほとんど無視されている。

 2020年1~11月の販売台数を見ると、ファストバック約13000台に対して、セダンは約5000台。セダン、意外と健闘してるんだね! でもまだ街で1台も見かけてない気がする……。やっぱ埋没してしまっているのでしょうか。

 でも、セダンにもいいところがある。使い勝手ならやっぱりセダンが上!

 ファストバックはデザイン命だけに、後席の乗り降りなど、若干不便なところがある。ラゲッジスペースも狭い。たったの334Lしかない。斜め後ろの視界も悪い。

 この美しいデザインのために、その程度の犠牲はしょうがない! と思いますが、使い勝手を重視すればセダン! 

 セダンなら後席の乗り降りはフツーだし、ラゲージ容量は450L。ファストバックのラゲージは横寸法がぜんぜん短くて、ゴルフバッグが横に積めないけど、セダンなら2個横積みできる! ゴルフ党なら断然セダン!

■存在は地味でも決して負けてない!? インプレッサG4

インプレッサ G4/2020年11月販売台数:236台(インプレッサスポーツ:同1289台)

 これまたG4(セダン)は、超絶地味な存在です。販売台数もスポーツの4分の1以下。XVまで含めれば、インプレッサ系の販売の10分の1にも達しておりません!

 でもね、少なくともスポーツとの比較で言えば、G4は決して負けてない。マツダ3ファストバックと違って、インプレッサスポーツってそんなにスタイリッシュじゃないでしょ? XVはカッコイイけど、スポーツは充分地味。つまり中途半端なんですよ!

 だったら、さらに地味なG4のほうがシブイ! そういう評価はできる。トランクがくっついてるぶん、ラゲッジだって広いし。いまどきこういう小型セダン自体貴重だしネ!

 G4なら、かつてWRCで大暴れした初代や2代目インプレッサWRXも彷彿とさせる……ことはないか、地味すぎて。

■販売はパッソの5分の1!? ダイハツ ブーン

ダイハツ ブーン/2020年11月販売台数:245台(トヨタ パッソ/同2542台)※写真はブーン「スタイル」

 トヨタ パッソとダイハツ ブーンの2台、ダイハツが開発を担当し、メカは同じ。違うのはほぼ外観だけだが、それもあんまり違いがない。

 オシャレ系のパッソ「モーダ」とブーン「シルク」もほとんど同じ。かつて存在したスポーツモデルは皆無ゆえ、カーマニアでも、この2台を瞬時に見分けるほど深い関心を抱いている者は少なかろう……。

 しかし、ダイハツブーンには隠しダマがある。それは「スタイル」というモデルだ!

 パッソ:ブーンの販売台数は約5:1。そんな圧倒的な劣勢下にあるブーンが、あえてもう1種類別の顔を用意しているというだけで、「アッパレ!」と言いたくなるじゃないか!

 しかもその「スタイル」の顔が、リスさんみたいでとってもカワイイ! さすがムーブラテでカワイイカーという日本独自の文化を開拓したダイハツだけのことはある! ダイハツには意地があるのだろう。そこを評価したい! 買わないけど。

■大ヒットライズと差別化! ダイハツ ロッキー

ダイハツ ロッキー/2020年11月販売台数:1400台(トヨタ ライズ:同1万627台)

 これもパッソ/ブーンとまったく同じ構図で、ダイハツが開発したものの、販売台数は大差でライズが上回っている。だいたい4:1つー感じです。

 この2台もメカは同じ。ただ、フロントフェイスは明らかに違う。ライズがミニRAV4なのに対して、ロッキーのこの顔は……。

 アウディです!

 六角形のシングルフレームグリルと、直線基調のちょい吊り目ヘッドライトの組み合わせ。これは間違いなくアウディだ! アウディのセダン系の顔を上下に引き伸ばした感じか?

 RAV4の人気は凄まじく、その縮小版たるライズのデザインも悪くないが、敵がアウディとなると、さすがにブランド力には差がある。いやね、ロッキーを見てアウディと間違う人はいないと思いますが、乗っている本人が「これはアウディだ!」と思い込むことは不可能ではないだろう。

 思えば、現行ミライースのボディに、キリリと立つエッジ群を最初に見た時、「ダイハツはアウディの生産技術に追いついた!」と思ったものだ。ダイハツは決してアウディに負けてない!

 ……と、言えなくもない。

■日産にはない強烈デザイン! 三菱eKクロス

三菱 eKワゴン、eKクロス/2020年11月販売台数:1119台(日産 デイズ:同5427台) ※写真はeKクロス

 こちらの同門もメカは同じ。販売台数はというと、販売力の差がストレートに出て、だいたい4:1となっている。

 しかし、野次馬カーマニアにとっては、販売力はカンケーない。日産だろうが三菱だろうが、メカが同じなら見た目の勝負である。そして、その勝負は、明らかにeKクロスの勝ちなのだ!

 デイズのデザインも悪くない。いやむしろシンプル&エレガントでかなり秀逸だ。ただしパンチはないし、記憶に残るほどステキでもない。

 その点eKクロスのデザインの強烈さは、夢に見てうなされるほどである。登場当初は、カーマニアの話題を独占し、eKクロスは絶世のドブスかそれとも個性派美人か? という大論争が繰り広げられた。いや、個性派美人だと言う人はいなかったな……。

 まあどっちでもいいわけですが、登場から約2年が経ち、eKクロスを非難する声はすっかり消えております! みんな目が慣れたんです! そして個性だけが際立っております! この同門対決、どう考えてもeKクロスの勝利にオワタのですよ! 

 その割に販売台数の比率は、前型からピクリとも動かなかった。すべては野次馬カーマニアのタワゴトだったんですね……。涙。

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