関越道の立ち往生で顕在化! 緊急時にEVに求められる「命を守るための基準」

関越道の立ち往生で顕在化! 緊急時にEVに求められる「命を守るための基準」

 2020年12月に関越道で1000台が立ち往生し、52時間もの間多くの人が高速道路上の車内で過ごすことを余儀なくされた。

 政府は2050年に向けて電動化を推し進めるとしているが、EVが普及しても、こういった天災に関してはガソリン車と同じように降りかかる。実際の航続距離が長くても400km満たないEVでは、ガソリンで発電できるPHEVや水素で発電するFCVのように、自らで電力を作ることができず緊急時はジリ貧になるばかりだ。ガソリン車よりも厳しいと考えられる。

 こういった状況も含めて、現在EVが抱える課題とは何か? 政府とメーカーで取りまとめるべき「命を守るための基準」とは何か? について提言していきたい。

文/国沢光宏
写真/Adobe Stock(mario beauregard@Adobe Stock)、NISSAN、HONDA、MAZDA

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■立ち往生したらEVはどれくらいもつ? 電池容量で大きく左右される持久力

 2020年12月に発生した大雪による関越道の長時間通行止めでは、幸いなことに閉じ込められた車両に電気自動車が含まれていなかった。

 もし雪の中で40時間程度動けなくなったとした場合、電気自動車はどうなるだろう? ケーススタディをすると相当厳しい状況になりそうだと判明した。以下詳しく紹介していきたいと思う。

 当然ながら吹雪の中で待機する状況になったら暖房が必要になってくる。電気自動車の暖房を稼働させようとすれば、1kWh程度の電力使うことになります。10時間で10kWh。現在最も大きな容量の電池を搭載している日産『リーフe+』は62kWhなので、フル充電状況なら60時間近く持つ。リーフ級のガソリン車だとアイドリングで1時間800ccくらい。

ピュアEVの日産リーフ。大容量バッテリーの搭載で、ガソリン車並みの航続距離の確保や家庭用蓄電池としての機能がウリ。満充電では、一般家庭での一日あたりの使用電力量を約12kWh/日とした場合、4日間の電力をまかなえる
ピュアEVの日産リーフ。大容量バッテリーの搭載で、ガソリン車並みの航続距離の確保や家庭用蓄電池としての機能がウリ。満充電では、一般家庭での一日あたりの使用電力量を約12kWh/日とした場合、4日間の電力をまかなえる

 ほとんど同じ条件だと考えていいんじゃなかろうか。電気自動車もガソリン車も残燃料/残電力によって違うことを考えたら、その時の運のようなもの。ただし! 電池容量が少ない電気自動車だと、なかなか厳しくなってきます。例えばホンダ『ホンダe』や、間もなく発売されるマツダ『MX-30 EV』は電池容量35.5kWhしかない。

街乗りユースをメインに想定したホンダe。電池容量もそれなりで冬の高速道路などで立ち往生した場合、常に電欠の心配が付いてまわりそうだ。天候状況によっては不要不急の外出は控えるべきか
街乗りユースをメインに想定したホンダe。電池容量もそれなりで冬の高速道路などで立ち往生した場合、常に電欠の心配が付いてまわりそうだ。天候状況によっては不要不急の外出は控えるべきか

 しかも全体の90%くらいしか使えないため実際に使える容量で言えば32kWh程度。加えて高速道路を走っている状況だと80%を下回っていると考えていい。急速充電した直後で80%以下だし、近所のインターから乗った直後だって80%以下になっている。除雪が済んで開通したあとも自力で急速充電器に辿り着かなければならない。

 35.5kWhだと電池残量が80%残っていたとしても20時間が立ち往生の限界。40時間の通行止めだと間違いなくもたなかっただろう。ここまで読んで「ガソリン車のようにヒーターを入れたり切ったりすればいいのでは?」と思うかもしれない。電気自動車で一度ヒーターを切ると、次にオンにした際は立ち上げに大量の電力を喰うのだ。

 いずれにしろ、電池容量の少ない電気自動車だと立ち往生に遭ったら厳しい。途中でガソリン補給するようなことだってできない。カーボンフリーに向け今後電気自動車が増えて行く中、吹雪で遭難するようなら使いモノにならないと判断する人も少なくないだろう。果たして電気自動車で雪道を走るときの解決策はあるのだろうか?

次ページは : ■立ち往生を想定して EVだから必要な3つのポイント

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