三菱デリカD:5の強みと弱味 唯一無二の個性 なぜ追随しない?

「ミニバン×SUV」が登場しない理由

 SUVが人気なのに他メーカーから「ミニバン×SUV」が登場しない背景には、3つの理由がある。

 まず最低地上高を高めてSUV風の車種に仕上げるには、床面や足まわりまで強化せねばならないことだ。最低地上高に余裕があれば、下まわりを擦らずに悪路へ乗り入れられてしまう。

 単純に車高を持ち上げただけでは、ボディや足まわりの耐久性が不足する心配がある。最低地上高の拡大は、信頼性を高めるために手間を要する。

SUV風ミニバンではなく、3列仕様のSUVで十分という見方もある。ミニバンより狭いが、多人数乗車と荷物積載が可能だからだという
SUV風ミニバンではなく、3列仕様のSUVで十分という見方もある。ミニバンより狭いが、多人数乗車と荷物積載が可能だからだという

 2つ目の理由は「ミニバン×SUV」に対するニーズだ。一般的なSUVも、ワゴン風のボディスタイルによって空間効率が優れている。エクストレイル/CR-V/CX-8などは、3列シート仕様も用意する。

 SUVの3列目は、ミニバンではないから窮屈だが、一応は多人数乗車と荷物の積載が可能だ。「ミニバンにSUV風のグレードを用意しなくても、SUVの3列仕様で十分」という見方も成り立つ。

 3つ目の理由は今後のミニバン需要だ。ミニバンの一部は海外でも売られるが、ほかのカテゴリーに比べると国内向けだ。

 今後の国内市場は少子高齢化もあり、ミニバン需要を見通しにくい。そのためにデリカD:5やエルグランドは、10年以上にわたりフルモデルチェンジしていない。従ってミニバンは、ボディバリエーションも基本的に標準ボディとエアロ仕様で対応している。

ミニバン需要が見通しにくい状況になっているためか、エルグランドは2020年にマイナーチェンジはしたものの、フルモデルチェンジまではしなかった
ミニバン需要が見通しにくい状況になっているためか、エルグランドは2020年にマイナーチェンジはしたものの、フルモデルチェンジまではしなかった

 しかし軽自動車のスペーシアは、SUV風のギアで売れ行きを伸ばした。フリードクロスターのように、最低地上高を高めずに外装パーツを装着するSUVモデルの投入は、試みる価値があるだろう。

 特にステップワゴンは、ホンダのブランドイメージがコンパクトな車種に偏ったこともあり、売れ行きが伸び悩む。セレナも最近は売れ行きが下降気味だ。

 これらのミニバンに、水洗いの可能な荷室などを備えたSUV風のグレードがあると、多くのユーザーに喜ばれるだろう。何よりデリカD:5の根強い人気が、「ミニバン×SUV」の可能性を物語っている。

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