旧基準と顔ぶれ激変で実燃費に近づいた!? 新基準燃費ランキング ベスト10

 日本でも総合燃費に加え市街地、郊外路、高速道路という3つのモードを持ち、より現実に近い世界的な燃費計測方法となるWLTCモード燃費がほとんどのモデルのカタログに記載されるようになった。実はこれにより低燃費車ランキングの上位も大きく変わった。

 そこで、本稿では日本車のWLTCモード燃費ベスト10をまとめ、旧基準のJC08モードから新基準のWLTCモードへの変更で、どれだけ燃費値が変わったのか? カタログ燃費と実用燃費の差なども含めて考察してみたい。

文/永田恵一、写真/TOYOTA、NISSAN、HONDA

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■新基準モード燃費ベスト3は旧基準時代と大きく変化!

新基準のWLTCモード燃費で見事トップとなったヤリスハイブリッド。プリウスやアクアなど同門のエコカーも上回る低燃費モデルに

●1位:トヨタ ヤリスハイブリッドX(2WD)/36.0km/L
 ヤリスのハイブリッドシステムは、遊星歯車を使った動力分割機構によりエンジンの力を発電用モーターとタイヤを駆動するぶんに振り分け、EV走行を含むモーター駆動もおこなうという基本的な考え方は、初代プリウスから変わっていない。

 しかし、新開発の3気筒エンジンの搭載による熱効率の向上や、充放電性能に優れるリチウムイオンバッテリーの搭載などの積み重ねにより1.5Lエンジンを搭載するハイブリッドとしてはアクアに対し約20%の燃費改善を実現。

 ハイブリッドカーでここまで燃費が良くなれば、長期的に見た総合的なエネルギーを使用する効率も世界トップクラスと断言できる。

●2位:プリウスE/32.1km/L
 ヤリスハイブリッドに首位は譲ったものの、プリウスの燃費も依然素晴らしく、燃費にキャビンとラゲッジスペースも加味した総合力はヤリスハイブリッド以上ともいえる。

 ただし32.1km/Lという燃費は、燃料タンクを5L小さくするなどした無理もある軽量化などを行った燃費スペシャル&廉価版の「E」グレードのため、現実的なWLTCモード燃費は「S」グレードの30.8km/Lとなる。

 それでもWLTCモード燃費ランキングの順位は3位に下がるだけと、プリウスの凄さは変わらない。次期モデルではヤリスハイブリッドのように燃費と動力性能のバランスがより高次元となることを期待したい。

●3位:ヤリスクロスハイブリッドX(FF)/30.8km/L
 ヤリスハイブリッドと同様の1.5L・3気筒ハイブリッドを搭載し、SUVとしては圧倒的な燃費を実現。また、ヤリスクロスハイブリッドには4WDもあり、トラクション(駆動力)を高めるトライアルモードを備える点も特徴となっている。

■新基準燃費4位~7位 トヨタ車以外の最上位は?

燃費に関してはトヨタHV勢の強さが目立ったなか、e-POWERを一新した新型ノートもここでランクイン

●4位:プリウスPHV(15インチタイヤ仕様)/30.3km/L
 日常ユースでは電気自動車としても使用可能なプリウスPHVは重量増などによりハイブリッドカートしての燃費はプリウスに僅かに劣るが、給電機能やスタイルを含めたクルマ自体の質感向上といった魅力も持つ。

●5位:カローラスポーツハイブリッドG、G“X”/30.0km/L
 プリウスと同じ1.8Lハイブリッドを搭載。プリウスに対し燃費は若干劣るが、5ドアハッチバックという点も含めたスポーツ性を備える。

●6位:アクアL/29.8km/L
 アクアの「L」グレードも、プリウスの「E」グレードに近い燃費スペシャル&廉価版的なグレードのため、現実的なWLTCモード燃費は「S」グレードの27.2km/Lとなる。

 アクアは、モデルが古いこともあり、コンパクトカーにおけるポジションが近いヤリスハイブリッドに対するアドバンテージは価格以外なく、ヤリスハイブリッドを選ぶかヤリスに対し若干上の車格になるといわれている次期モデルを待つのが賢明だろう。

●7位:ノートF(2WD)/29.5km/L
 新型ノートの「F」グレードも、燃費スペシャル&廉価版的な位置づけで、現実的なWLTCモード燃費は「S」と「X」グレードの28.4km/Lとなる。

 エンジンを発電専用に使いタイヤはモーターで駆動する電気自動車に近いe-POWERの静かでスムースなうえに、レスポンスよく俊敏な加速は大きな魅力だ。

■新基準燃費8位~10位 ホンダHV勢はここでランクイン!

新型から2モーターHVの「e:HEV」を搭載するホンダ フィット。カタログ燃費ではヤリス、ノートの後塵を拝したが、総合力は高い

●8位:フィットハイブリッドBASIC(2WD)/29.4km/L
 日産のe-POWERに近い1.5Lガソリンエンジンに発電用と駆動用モーターを組み合わせた2モーターシリーズハイブリッドに、巡行中の燃費悪化を抑えるクラッチによるエンジンとタイヤの直結駆動モードも持ち、燃費に加えキャビンとラゲッジスペースの広さを含めた総合力はコンパクトカーナンバー1だ。

●9位:カローラ&カローラツーリングS、G-X(2WD)/29.0km/L
 カローラスポーツ同様にプリウスと同じ1.8Lハイブリッドを搭載。カタログ燃費は意外にもセダンボディのカローラの方が悪い。

●10位:インサイトLX/28.4km/L
 フィットハイブリッドと同じエンジン直結モード付1.5L・2モーターハイブリッドを搭載。ボディサイズの大きさの割に、フィットハイブリッドとの燃費の差が少ない点も興味深い。

 なお、11位以下もカローラアクシオ/フィールダー、カムリ、C-HRというトヨタのハイブリッドカーが続き、純エンジン車のトップは25.8km/Lで15位のアルトCVTの2WDだった。

■新基準導入でカタログ燃費は実態に近づいた?

2021年1月現在のWLTCモード燃費ベスト10。実に8台をトヨタ車が占める結果となった

 ここからはクルマのジャンルごとに傾向を見ていきたい。各ジャンルの代表的なモデルにおける燃費の変化は以下のとおりだ。

●軽自動車/N-BOX(NAの2WD)
JC08モード燃費/27.0km/L
WLTCモード燃費/21.2km/L
(市街地/18.7km/L)
(郊外路/22.5km/L)
(高速道路21.6km/L)

●一般的なガソリン車/インプレッサスポーツSTIスポーツ4WD
JC08モード燃費/15.1km/L
WLTCモード燃費/12.4km/L
(市街地/8.9km/L)
(郊外路/12.7km/L)
(高速道路/14.7km/L)

●大排気量車/アルファードGF(3.5L・V6のFF)
JC08モード燃費/10.8km/L
WLTCモード燃費/10.2km/L
(市街地/7.3km/L)
(郊外路/10.0km/L)
(高速道路/12.1km/L)

●ディーゼル車/デリカD:5
JC08モード燃費/13.6km/L
WLTCモード燃費/12.6km/L
(市街地/10.1km/L)
(郊外路/12.6km/L)
(高速道路/14.1km/L)

●ハイブリッド車/カローラS
JC08モード燃費/35.0km/L
WLTCモード燃費/29.0km/L
(市街地/27.8km/L)
(郊外路/32.2km/L)
(高速道路/27.7km/L)

 このように、すべてカタログ燃費は低下している。その度合いは軽自動車とハイブリッド車で約20%、一般的なガソリン車が約15%、ディーゼル車で約10%、大排気量車約5%と、燃費の良いクルマほど影響は大きく、負荷に強いディーゼル車と燃費の良くない大排気量車は比較的影響が少ない傾向だ。

 また、最近筆者が買ったGRヤリスの1.6L・4WDターボエンジン車でWLTCモード燃費(総合13.6km/L、市街地10.6km/L、郊外路13.8km/L、高速道路15.3km/L)と実用燃費と比べてみると、どのモードもWLTCモードの90~95%と実用燃費にかなり近い。その理由としては、以下の4点があげられる。

・測定時のコールドスタート(エンジンが冷えた状態からの始動となるため燃費には非常に不利)の割合がJC08モードの25%に対し、100%と大きい
・測定時の車重がJC08モードに対し荷物の搭載も想定し、概ね50~100kg以上重い
・測定時に加減速が多い
・測定時の最高速がJC08モード81.6km/hに対し、WLTCモードは郊外路76.6km/h、高速道路97.4km/Lと高い

 まとめると厳しい測定方法となっているため、実用燃費にも相当近いといえる。

 また、WLTCモードは総合燃費に加え3モードの使用パターンによる燃費も記載されるため、使用パターンによる燃費の絶対値に加え得手不得手を参考にできる点もありがたい。

 WLTCモード燃費の導入と義務化は大変歓迎できることであるが、今後は120km/h制限の高速道路が増えてきたこともあり、海外では計測されているWLTCモード燃費の超高速モード(最高速130km/h)が日本でも加わると、カタログ燃費がより正確な情報となるだろう。

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