40年経っても新型不在!! 実は復活計画があった!? 新型モトコンポはなぜ生まれないのか

■大ヒットしたシティに対してモトコンポは振るわず一代限りで終了

モトコンポのカタログでもシティはセットで登場。CMではムカデダンスの後にシティとモトコンポが同時に映し出されるカットが挿入されていた
モトコンポのカタログでもシティはセットで登場。CMではムカデダンスの後にシティとモトコンポが同時に映し出されるカットが挿入されていた

 「ホンダ、ホンダ、ホンダ、ホンダ、シティ!」というリズミカルな音楽とコミカルなムカデダンスのCMでシティの注目度は抜群。1981年11月の発売以来、約2年間で15万台を販売、ピーク時には月販1万6000台を記録した。

 基本グレードのほかにやターボやハイルーフ仕様など次々にバリエーションが広がり、初代シティは1986年まで継続された。

6輪生活コンセプトの元祖、1967年のモンキーZ50M。折り畳み式のハンドルやシート、液漏れ防止の燃料キャップなどモトコンポの源流がここにある
6輪生活コンセプトの元祖、1967年のモンキーZ50M。折り畳み式のハンドルやシート、液漏れ防止の燃料キャップなどモトコンポの源流がここにある

 一方、モトコンポはシティのCM効果とは裏腹にセールスは芳しくなく、一代限りで終了した。

 当時、シティにはモトコンポがセットで付いてくると思った人が多く、8万円というモトコンポの価格はベースとなったロードパルSの7万3000円と比較しても決して高くはなかったが、別売りと分かると断念する例がほとんどだったという。

1969年のダックスホンダ。これをセダンのトランクに積み込もうとすると一人では大変だった。「やってみよう!」と思える気軽さはモトコンポの方が上
1969年のダックスホンダ。これをセダンのトランクに積み込もうとすると一人では大変だった。「やってみよう!」と思える気軽さはモトコンポの方が上

 CMの効果もあってモトコンポの認知度は高く、販売終了後に人気漫画連載に登場したり、現在に至っても愛好者の多い記憶に残るモデルになっている。

 その意味ではシティよりも長期的にホンダのイメージアップに貢献している訳だが、販売面で振るわなかったのは1980年代においてもコンセプトが時代を先取りしすぎていたと考えられる。

 1967年のモンキー以来、伝統的にホンダにあった6輪生活志向は決して実を結んでいた訳ではなく、モンキーやダックスをクルマに積んでレジャーに使用していた人は極少数だったという。

■こいつ…走るぞ! 2011年のモーターコンポはなぜ出ない?

まさにモトコンポがEVでリバイバルしたモーターコンポ。ハンドルも折り畳んで収納できるようになっている。メーターはスマートフォンを利用する
まさにモトコンポがEVでリバイバルしたモーターコンポ。ハンドルも折り畳んで収納できるようになっている。メーターはスマートフォンを利用する

 ホンダのすごいところはブレずに継続することにある。モトコンポから30年を経て2011年の東京モーターショーには、EV版の「モーターコンポ」をコンセプト出品したのだ。

モーターコンポは走ること以外にも携帯用電源として戸外だけでなく屋内での使用も想定。同時出品された電動車にもすっぽり収まるサイズとしている
モーターコンポは走ること以外にも携帯用電源として戸外だけでなく屋内での使用も想定。同時出品された電動車にもすっぽり収まるサイズとしている

 今度のコンポは天地無用気にせず車載できてアウトドアでの電源としても活用できる。EVでこそモトコンポのコンセプトはより生きるものと感じさせる展示で、ショー演出用としてステージ上での走行も可能だった。

 しかし、モーターコンポでも発売するにはまだ時代を先取りしすぎていると言えそうだ。モーターコンポはバッテリー搭載スペースが限られており、進化したとは言え現行の「ホンダモバイルパワーパック」を収めることが難しい。

2005年にヤマハも車載を想定した折り畳みできる電動のEC-02を発売。年間3000台ほど販売し可能性を示した。バッテリーの信頼性と性能が向上すれば再び登場も!?
2005年にヤマハも車載を想定した折り畳みできる電動のEC-02を発売。年間3000台ほど販売し可能性を示した。バッテリーの信頼性と性能が向上すれば再び登場も!?

 2015年の東京モーターショーで発表されたEVカブコンセプトも2018年に発売されることがアナウンスされていたが、バッテリー搭載スペースが限られていたために見送られた経緯もある。

 逆に言えばバッテリーの小型&高性能化と低価格化が実現すれば、コンセプトメイクが定まっているモーターコンポも期待できるということだ。

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