毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はスバル R2(2003-2010)をご紹介します。
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文/伊達軍曹、写真/SUBARU
■流れるようなデザインと軽とは思えないほど上質な乗り味を引っさげ登場したスバルR2
1993年に登場した初代スズキ ワゴンRが発端となって出来上がった「軽自動車はスペース効率こそが正義」という大きな流れ。
しかしその流れにあえて背を向け、スペース効率ではなく「デザイン性」と「走行性能」を最重要視した一台として2003年12月に登場。
されど時代の大きな流れにはあらがえず、一部のコアなファンには大いに愛されたものの、1代限りであっけなく消滅した名作軽自動車。
それが、スバル R2です。
「新しいミニカーのカタチ」というキャッチコピーを伴って2003年の暮れに発売されたスバル R2は、往年の名作「スバル360」の後継モデルとして1969年にデビューした「R-2」の名を蘇らせたモデル。
当時主流だったスズキ ワゴンRやダイハツ ムーヴなどの箱型デザインとは完全に一線を画した、流れるようなフォルムが特徴でした。
スバルいわく「寸法競争から解き放たれた個性的なスタイリングを最大の特徴」とのことで、全長と全幅は軽規格いっぱいですが、全高は当時のスバル プレオより50mm低い1520mm。一般的な立体駐車場に収まる高さです。
搭載エンジンは、直列3気筒がほとんどだった軽自動車のなかでは「特殊」といえる658ccの直列4気筒。
ヘッドユニットと過給器の有無により、SOHC/46psの「i」と、可変バルブタイミング機構付きDOHC16バルブ/54psの「R」、そしてスーパーチャージャー付きDOHC/64psとなる「S」という3つのグレードに別れます。
トランスミッションは自然吸気エンジン搭載車がCVTまたは5MTで、スーパーチャージャー付きエンジン搭載車は7段シーケンシャルモード付きCVT。
駆動方式はFFのほか、全グレードにビスカスカップリング式AWDも用意されました。
スバル R2は足まわりも凝っていました。前後ともストラット/コイルの4輪独立懸架というサスペンション形式はプレオと同じでしたが、フロントロアアームとリアラテラルリンクの延長などによって安定性と快適性の向上が図られ、全グレードの前輪にベンチレーテッド・ディスクブレーキが奢られています。
そのように贅沢な設計で登場したスバル R2は、当然ながら(?)運転という行為自体が大好きな自動車ジャーナリスト諸氏や守旧派の自動車ユーザーの多くを唸らせました。
しかしその唸りは、一般的な軽自動車購買ユーザーにはほとんど届かず、R2のセールスは低空飛行状態に。
その状況を打開すべく、スバルはR2の一部改良を繰り返し行い、グレードの追加や特別仕様車の投入なども行いましたが、事態はさほど好転せず。
そのためスバルは2010年3月をもってR2の受注を終了し、同年8月には販売のほうも終了と相成りました。
コメント
コメントの使い方R2は工業機械製品としては最高傑作だと思います❗これとサンバーはエエですね❗ さすが元ナカシマ航空機🙌 三菱の零戦にエンジン積み、本家より優れたマスプロ生産して日本の危急存亡を賭けて戦った企業だけあると思います❗