国産は4WD「あり」が多数!! なぜSUVなのに欧州車は非四駆ばかり??

欧州では4WDの必要性を感じない!?

日本でも雪国は限られるが、その雪道の「質」の違いが、日欧での4WDの必要性をわけている?
日本でも雪国は限られるが、その雪道の「質」の違いが、日欧での4WDの必要性をわけている?

 まず、大きな理由は「4WDの必要性を感じない」ということ。日本の場合、4WD=雪道みたいなイメージだと思う。今シーズンのような大雪が降ると、FFじゃお手上げです。

 おそらくFFで今シーズンの大雪に苦労した皆さん、次に買うのは4WDになるかと。日本の雪道を走ろうとすれば、やはり4WDがいい。

 一方、欧州はまったくイメージが違います。日本より緯度の高い欧州ながら、平地には案外雪が降らないのだった。加えて雪が降っても日本のように滑らない。欧州の雪って外気温の低いときにしか降らないし、降っても湿度の関係なのか案外グリップする。

 考えてみてほしい。アイスペールの濡れた氷は滑るけれど、冷凍庫の氷を触るとくっついてきます。

 温度が低くて湿度の少ない雪や氷、けっこうミュー(摩擦係数)が高い。マイナス10度を下回ると、水はすぐ凍るためハイグリップタイヤで走れてしまうほど。

 最もわかりやすいのが冬タイヤ。欧州の雪の降る地域へ行くと、皆さんオールシーズンタイヤです。日本の雪道をオールシーズンタイヤで走ったら、アイスバーンで非常に厳しい修行になってしまう。

 欧州の雪道はオールシーズンタイヤで充分走れてしまうのだった。最近は日本にも中国や東南アジアブランドの格安スタッドレスタイヤが入ってきているが、そういったタイヤは欧州用に作られたもの。

 冬場、スタッドレスタイヤを履いていないと罰金になるドイツみたいな国もある。大量に売れるため安価なスタッドレスタイヤのニーズが出てくる。

 そんな雪質のため、当然の如くFFで充分走れてしまう。欧州で雪による4WDのニーズがあるのは、スイスなどごく一部。

 北欧に行けば一段と外気温が低くてグリップするようになるし、そもそもスパイクタイヤを使えます。スウェーデンなどスパイクタイヤの装着率は90%。スパイクタイヤならFFでガンガン走れるから4WDなど不要。

雪道以外ではメリット薄い? 四駆なしSUV多い合理主義の欧州

 雪道で4WDのニーズがなければ、あとは使う場所はありません。舗装路だけ走ることを考えると、4WDにメリットまったくなし! 

 4WDはコンパクトカーであっても車重にして70kg以上重くなるため、燃費を落とす。常に1人多く乗せているようなもの。同時に加速性能まで悪くなる。欧州のコンパクトカーを見ればわかるけれど、比較的非力。

 高速道路の登り坂に差し掛かったら全開全開また全開。少しでもパワーが欲しい。使わない4WDなんかムダでしかありません。

 加えて4WDは構造的にデフ(編集:デファレンシャルギア、左右輪の速度差を吸収し、車がスムースに曲がるための機構)が必ず1つ多くなり、これまた走行抵抗になり燃費を落とす。

 トドメに価格。必要性のない4WDのために、30万~40万円高い車両価格になることなど納得できないでしょう。

今年2月に発表された小型SUVの新型キャプチャーは、全グレード2WDで4WD車の設定はない
今年2月に発表された小型SUVの新型キャプチャーは、全グレード2WDで4WD車の設定はない

 ここまで読めば欧州のコンパクトなSUVの大半がFFしかないのも理解できると思う。4WDを作ろうとしたらドライブシャフトを通すため専用のフロアなどが必要になる。

 たいして売れない4WDのために、巨額の投資が必要なフロア構造を変えるなんて無理。簡単に言えばニーズがないから売れない。売れないから作らない、ということです。

次ページは : ■ハイパワー4WDには別の理由も

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

新型プレリュード仮想カタログほか、スポーツカー好き大歓喜情報満載!ベストカー12月10日号発売中!!

 ベストカーWebをご覧の皆さま、ちわっす! 愛車がどれだけ部品を交換してもグズり続けて悲しみの編集…