■誤給油してしまったら、修理費用はいくらかかる?
ガソリン車にしても、ディーゼル車にしても、給油している時点で間違いに気付けば、燃料タンクの洗浄だけで済むので、被害はグッと少なくなる。誤給油に気付かず、エンジンをかけて走らせてしまった場合は、燃料タンクの洗浄だけでは済まなくなる。
ちなみに筆者は高校生の頃、ガソリンスタンドでアルバイトをしており、その時に一度、誤給油をやらかしている。
なんと原付バイクにうっかり軽油を給油してしまったのだ。その時には、給油途中で気付き、タンク内の燃料を抜き取ってガソリンを入れ直しただけで済んだ(後からバイクのオーナーにクレームを言われたことはないので、たぶん大丈夫だったようだ)。
ガソリン車の場合は燃料系を洗浄するだけで済む場合が多いので5万円以内で済むことが大半だ。ただし、しばらくの間はマフラーから白煙と、石油ストーブを消した直後の不完全燃焼の臭いが漂うことになる。
これらを修理で完全に解消させようとなると、燃料系や排気系の完全洗浄や部品交換が必要になるので、大きなダメージになった場合の費用は十数万円になってしまう。
ディーゼル車にガソリンを入れた場合は軽油に対してガソリンは潤滑性が低いため、初期ではエンジンは作動していてもすぐにパワーが失われてくる。エンジン音が高まるとともに、アイドリングも不安定となって排ガスは白くなってくる。
こうなると燃料ポンプやインジェクターが摩耗や焼き付きを起こしてしまうことになる。結果として、オーバーホールが必要になって、修理費用もフルオーバーホールでは30万円程度かかるケースも起こりうるという。
昔のディーゼル車はガソリン車に比べ、ガラガラという大きなエンジン音で見分けがつきやすかったが、マツダのクリーンディーゼル車は、ガソリン車並みに静かになってきており、見分けがつきにくくなった。
旧式のディーゼル車に比べてマツダのSKYACTIV-Dは部品代が高額なため、修理代が50万円を超える事例もあるという。いずれにしてもディーゼル車にガソリンを誤給油してしまったらエンジンをかけないことが必須。
自分のクルマで誤給油してしまった場合は、最低限の修理費用で回復させて、様子を見るのも現実的な手段だが、レンタカーなど借り物の場合は完全に修理して返却する必要がある。
むしろめったにクルマに乗らないレンタカーユーザーのほうが、誤給油は起こしやすいのではないだろうか。例えばレンタカーのハイエースを借りた場合、「バンだからディーゼルだろう」という先入観で、ガソリン車に軽油を入れるケースも大いにありうる。
また、最近はガソリンでも直噴エンジンが増えてきたため、アイドリングでカラカラとディーゼルエンジンのような燃焼ノイズを発するクルマも多いことが、誤給油の原因の一つではないか、という意見もあるようだが、そもそもエンジンノイズに敏感なクルマ好きが燃料を誤給油するとは思えない。
やはり便利になり過ぎたが故、無頓着になったドライバーが誤給油をしでかすのではないだろうか。
いずれにしてもたった1ヵ月間で、390件の燃料の入れ間違いがあるのだから、自分は絶対しない、ありえないと思わずに給油の際に再確認してほしい。
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最後にまとめとして、注意事項を改めて書いておこう。
●セルフスタンドのノズルカバーやノズル受けには、誤給油を防ぐため、ハイオクガソリンは「黄」、レギュラーガソリンは「赤」、軽油は「緑」、灯油は「青」に色分けされているので間違いないように注意。
●セルフスタンドで万が一、ガソリン車に軽油を入れてしまった、ディーゼル車(軽油)にガソリンを入れてしまったら、絶対エンジンをかけないこと。すぐにガソリンスタンドのスタッフに伝え、可能であれば燃料を抜いたり洗浄作業を依頼する。
繰り返すが、ガソリン車に軽油、ディーゼル車にガソリンを誤給油してしまった場合はエンジンをかけないことだ(気づかない場合は別だが)。セルフスタンドに人がいなかったり、作業を断られた場合にはJAFや加入している任意保険のロードサービスに連絡して救援措置を取るか、ディーラーや整備工場に相談してみよう。
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