警察庁が発表した犯罪統計資料によれば、ここ5年では犯罪件数全体が減っている傾向にあるようだ。
これはまず監視社会となって、以前より犯罪への抑止力が働いていることが大きい。事件が起こると、防犯カメラに写る犯行の映像がニュースなどで流されるため、犯罪者予備軍の警戒心を高めることになるからだ。
コロナ禍となって、外出する人が減ったことで空き巣や自宅駐車場のクルマが盗難や車上荒らしに遭う危険性が低下したこと、海外から窃盗団が来れなくなったことも影響しているようだ。
しかしクルマに関して言えば、イモビライザーを採用したり、スマートキーによるイグニッションスイッチの無線化など、セキュリティ面は年々改善されているだけに、もっと減ってもいいと思う人も多いのではないだろうか。
そう思う理由のひとつが、報道の影響だ。近年、セキュリティが強化されているにも関わらず、高級車を中心に窃盗団が短時間にクルマを盗み出していく様子を防犯カメラの映像から紹介している。これによって「自動車盗難は多い」というイメージを与えている。
以前と比べ、キーの挿しっ放しやアイドリングでの放置などドライバーの不注意を利用された自動車盗難は減っているが、トヨタ『ハイエース』や『ランクル』、レクサス『LX』など高級車や海外で人気のクルマを中心に、やはりまだまだ自動車盗難は少なくはない。2020年は全国で5210件(前年比27.1%減)の自動車盗難が発生しているのだ。
今回は、減ったとはいえ、いまだに誰もが被害に遭う可能性がある自動車盗から愛車を守るためには、どのような点に気を付けるべきなのか? 近年の盗難の傾向を踏まえつつ解説していきたい。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock(buritora@Adobe Stock)
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