「キーを捻る」は死語!? エンジン始動 なぜボタンが主流に?? プッシュ式の利点と注意点


 キーを捻ってエンジンをかける。――それは、車に乗って運転をする時に誰もが行う当たり前の行為だった。

 しかし、今やエンジンの始動は「ボタン」で行う車がほとんど。商用車など一部を除けば、「キーを捻る」という行為はほぼ絶滅したと言っても過言ではない。

 かつて、F1マシンなど特殊な車にしか見られなかったボタン式のエンジン始動スイッチは、いつから普及したのか? その背景にはさまざまなメリットがある反面、近年では新たな注意点も出てきている。

文:永田恵一
写真:NISSAN、HONDA


エンジンスタート/ストップボタン いつから普及?

かつては鍵穴にキーを差し込んでエンジンをかける車が一般的だったが、今では“鍵の進化”も手伝ってエンジンスタート/ストップスイッチが普及

「エンジンの始動と停止をプッシュボタンで行う」という機構を日本車で最初に採用したのは1999年登場のホンダ S2000だった。

 ただ、S2000の場合は、キーをイグニッション(2段階目)まで回し、クラッチペダルを踏みながらプッシュボタンを押すとエンジン始動できる方式で、レーシングカーのような雰囲気を演出するものだった。

 この方式は、後に2007年登場のシビックタイプRや2009年登場でイギリスからの輸入車とだったシビックタイプRユーロにも採用された。

1999年に登場したホンダ S2000
S2000はステアリング右横に「エンジンスタートボタン」を搭載。ただ、エンジンをかけるには、従来どおりキーを鍵穴に差し込んだうえで、このボタンを押す必要があった

 また、形こそプッシュボタンではないが、3代目セルシオはスマートキーを身に着けてドアハンドルに触れると「解錠」、ドアハンドルにあるボタンを押すと「施錠」、ステアリングコラムにあるガスコンロのつまみのようなスイッチを回すと「エンジンの始動と停止」ができるという機構を採用。

 そして、現在のプッシュボタンスタートを最初に採用したのは、2003年登場の2代目プリウス。

 同車以降、スマートキーによる解錠・施錠とエンジンの始動・停止は、さらに普及が進んだのだが、エンジンの始動・停止は、トヨタ車以外プッシュボタンではなく3代目セルシオのガスコンロのようなスイッチで行うクルマが多かった印象だ。

 プッシュボタンスタートが主流になったのは、同機構を全車標準装備とした2009年登場の3代目プリウス以降と言えるだろう。

 それから10年が経った今では、ホンダ N-BOXのような軽自動車でもスマートキー&プッシュボタンスタートとなっており、現行日本車の乗用車でキーを捻ってエンジンを掛ける車は見つけるのが困難なほどだ。

なぜプッシュボタンスタートが主流に? その理由とメリット

ホンダのN-BOXは「ハンズフリースライドドア」を採用。スマートキーを身に着けていれば、足先を車体にかざすだけでドアの開閉が可能。 両手がふさがっている際の利便性も上がる

 これはスマートキーの普及と強く関係しており、以下の理由が考えられる。

■キーを出さなくて済む利便性

 車のキーは、衣類のポケットか鞄の中に入れることがほとんど。

 特に女性に多いであろうハンドバックの中にキーを入れる場合だと解錠・施錠やエンジン始動のためにキーを出す、キーを差し込むという作業が煩わしいのは否めず、スマートキー&プッシュボタンスタートであればこの煩わしさ、手間から解放される。

■盗難防止上の理由

「リレーアタック」(後述)という盗難が出始めるまでは、鍵穴が減るだけに不正にドアを開けられ、車上荒らしなどに遭う可能性は大幅に減少し、エンジンを掛けられ車を持ち去られる可能性が限りなくゼロに近いとされていた。

■エンジン始動の手間を軽減

 キーを捻ってエンジンを掛ける車は、キーを捻る行為とセルモーターがシンクロしていたため、寒い時やしばらくエンジンを掛けなかった時など、状況に応じてキーを捻り続けてセルモーターも長く回す必要があった。

 一方、プッシュボタンであればパソコンの起動のように、ボタンを押せば必要なだけセルモーターを回してくれるので、そういった手間からも解放される。

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