アリオンはトヨタのファンをつくる
トヨタが目指した80点主義、つまり、ファンの最大公約数を大きくするクルマ作りが、アリオンからは強く感じられた。コンパクト、ラグジュアリー、コンフォート、リーズナブルと、アリオンの良さは多岐にわたる。
しかし、現在では、時代の変遷により、最大公約数が小さくなってきているのを感じざるをえない。引き際としては今がベストタイミングなのだろう。
アリオンは初めから80点主義のクルマではなかった。どちらかというと、少し尖って目立ったクルマだったように感じる。
尖ったクルマが、段々と形を変え、多くのユーザーにフィットする形になっていった。アリオンは目立つことを止め、内助の功に徹する。
結果、クラウンやランクルのような、車種のファンではなく、トヨタのファンを大きく増やすクルマになっていった。
自身が去った後も、しっかりとファンを残す。アリオンはそういうクルマだ。メーカーのファンを作ってくれるクルマは貴重な存在である。
今後トヨタとしては、現在のラインナップから、次世代のアリオンを作り出す動きが急務となるだろう。アリオンが連れてきたファンを手放さないように。
名車カリーナ、そしてアリオンは約50年の歴史に幕を下ろす。いぶし銀の活躍を見せた彼らは、去り際も静かだ。多くのトヨタファンを作ってくれたアリオンを、労いの拍手で送別してあげたい。
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