消えゆく名門アリオンの想い出 トヨタ営業マンが見た内助の功

アリオンはトヨタのファンをつくる

初代カリーナから約50年の歴史で幕を下ろすアリオンは、「トヨタのファンを多く増やすクルマ」であり、貴重な存在であった
初代カリーナから約50年の歴史で幕を下ろすアリオンは、「トヨタのファンを多く増やすクルマ」であり、貴重な存在であった

 トヨタが目指した80点主義、つまり、ファンの最大公約数を大きくするクルマ作りが、アリオンからは強く感じられた。コンパクト、ラグジュアリー、コンフォート、リーズナブルと、アリオンの良さは多岐にわたる。

 しかし、現在では、時代の変遷により、最大公約数が小さくなってきているのを感じざるをえない。引き際としては今がベストタイミングなのだろう。

 アリオンは初めから80点主義のクルマではなかった。どちらかというと、少し尖って目立ったクルマだったように感じる。

 尖ったクルマが、段々と形を変え、多くのユーザーにフィットする形になっていった。アリオンは目立つことを止め、内助の功に徹する。

 結果、クラウンやランクルのような、車種のファンではなく、トヨタのファンを大きく増やすクルマになっていった。

 自身が去った後も、しっかりとファンを残す。アリオンはそういうクルマだ。メーカーのファンを作ってくれるクルマは貴重な存在である。

 今後トヨタとしては、現在のラインナップから、次世代のアリオンを作り出す動きが急務となるだろう。アリオンが連れてきたファンを手放さないように。

 名車カリーナ、そしてアリオンは約50年の歴史に幕を下ろす。いぶし銀の活躍を見せた彼らは、去り際も静かだ。多くのトヨタファンを作ってくれたアリオンを、労いの拍手で送別してあげたい。

【画像ギャラリー】2021年3月に約50年の歴史に幕を下ろすトヨタカリーナ、そしてアリオンをみる

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