2011年に発生した東日本大震災から10年という節目を迎える2021年だが、2月13日の深夜に福島県沖地震が発生し、東北だけでなく関東でも被害の出た地域があった。
近年ドライブレコーダーを付けているクルマが増えたことでその映像がニュースで流れたが、首都高を走行中、街路灯が左右に目で見てわかるほど揺れているものや、道路そして車両も大きく揺れているものがあった。
しかし中には、気づかないのか? それともクルマを止めることにまで気が回らなかったのか? 路肩に退避するクルマと、その横を走り抜けるクルマの両方が存在していた。
だがもし、さらに揺れていたら……、思わぬ事故につながった可能性がある。
今回は、震災から10年の現在だからこそ、その教訓から学びたい、高速道路を走っていて地震が発生したらどうするべきか? について解説していく。
文/高根英幸
写真/Adobe Stock
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■大地震が発生したら「クルマは放置して徒歩で移動」は正しいのか
2021年2月13日、あの東日本大震災からちょうど10年が経過して、再び結構な揺れが東日本を襲った。特にクルマで走行中に地震に遭うことは危険だ。震度3くらいまでなら気付かない人も多いが、それ以上の揺れとなると真っすぐ走るのが難しくなってくる。
クルマは路面が横方向に傾斜していたり、凹凸があっても真っすぐ走っていくようにホイールアライメントが定められている。それでも外乱に対しての抵抗は限定的で、水はけ性のための傾斜程度を超えるような大きな路面の変化では、進路が乱れる。
震度6以上の大地震ともなれば、とても真っすぐ走れない。そこまでの震度ではなくても橋や高速道路などの高架道路では揺れが増幅されるから、走り続けるのは危険だ。
もしクルマを運転中に大地震が来たら、どうするべきか。揺れを感じたらクルマを停車させて、地震が収まるのを待つ。そして緊急車両の通行を阻害しないよう、道路外に駐車してドアロックをせず、キーを付けたままクルマを移動できる状態にして、徒歩で避難するのが震災時の基本ルールだ。
しかし東日本大震災を体験した我々には、実際にはそんな簡単にルール通りにはいかないことがわかっている。
帰巣本能と言うか、自分が自宅に帰りたいという想いと、自分が帰ることで家族を支えなければならない使命感のような思いから、ほとんどの人は何とかして自宅へ戻ろうとするだろう。その場合路肩、あるいはコンビニやスーパーなどの駐車場にクルマを置いて徒歩で帰路に向うのはほとんどのドライバーにとって非現実的だ。
もちろん地震の規模が東日本大震災以上にすごく、橋という橋が壊れてしまったり、道路も大きく亀裂が入ってしまっているような状況になればクルマは使えないが、そうでなければクルマで帰ろうとするのは自然な行動だ。
なぜなら電車やバスなどの公共交通機関は使えないことが多いし、徒歩で移動できる距離には限界がある。東日本大震災の発生当日は、気の遠くなるような時間歩いて帰宅した人も多いが、それは電車通勤をしていた人がほとんどだったと思われる。
2014年には災害時の放置車両を自治体などが移動できるよう、法改正されている。しかし局所的に問題が生じた箇所はあったとしても、東日本大震災時には放置車両の多さで問題になったという報道はほとんど見かけなかった。
問題は大渋滞により、走行車線上にそのままクルマを放置して徒歩で帰宅してしまったドライバーだろう。国土技術研究センターの試算によれば、首都直下型地震が起こった際に、都内の主要道路に留まっているクルマは、およそ2.4万台となっている。このうち、ドライバーが乗っているあるいはキーが付いていて移動可能な立ち往生車両は約1.5万台で、残りの9000台程度はレッカーなどで移動を要する放置車両となるようだ。
国土交通省によれば、東京都内を走行している車両は1日700万台とされている。時間帯によって実際の交通量は大幅に変化するが、単純計算では1時間あたり29万台で、このうち9000台は3%以下となる。駐車場などに停めて徒歩で避難するドライバーもいるだろうが、多くのクルマは災害時にも移動していることになる。
駐車できるスペースを見つけたら、ドアをロックせずキーも車内に残して、連絡先をダッシュボードなどに示して駐車するほうがいいが、都市部では駐車場を見つけられない場合も少なくない。
自宅からの避難の際にはクルマを使わないのは鉄則だが、出先で震災に遭った場合は状況に応じて移動手段を考えることが大事だ。
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