■メリットない、時代遅れ、いいところなしでも普及が進むカラクリとは?
これほどメリットのないETC2.0が、これほど普及するのはなぜなのか? それに関する調査はないのであくまで推測だが、理由は2つ考えられる。
ひとつは、ETC2.0の実態が知られていないことだ。
私は以前から、「ETC2.0はメリットが乏しい」と書いているが、マスメディアで同様の情報発信を見たことがない。つまり、多くの人が、新車購入時、知らずに付けてしまっていると考えられる。
理由その2は、新車ディーラーがETC2.0の後押しをしていることである。
ETCとETC2.0、どちらにしますか? となった場合、多くの営業マンが、2.0のメリットを説明する。実態を知らない人が、「1万円くらいの差なら、新しい方を付けようか」と思ってしまっても不思議はない。その割合は、乗用車(軽を含む)で約3割だ。
一方で、ETC2.0の特典は、圏央道の2割引その他以外に拡大する気配がない。一体なぜか?
国交省としては、利用率がここまで高まれば、すでに十分なのだろう。
国交省が一番欲しかったのは、民間から買わずに得られる独自の交通経路データだ。利用率が25%まで高まれば、十分なデータが得られ、すでに渋滞対策の立案等にも活用されている。これはETC2.0のメリットだが、2.0を付けていなくても、その恩恵を受けられる。
とにかく国交省としては、これ以上出血サービスをしなくても、クルマの買い替えが進むにつれ、自然と装着率は高まる。もはや何もしなくても、果実は増していくのである。
一方で、ETCの発展性がもはや行き止まりであることは、誰よりも国交省がよく知っている(はず)。ただ、役所というものは、一度決めたら止まれない。もう惰性で行くしかない。
実際のところ、頻繁にロングドライブをする人を除けば、あの交通情報を煩わしいとまで思うこともなく、デメリットにも感じないかもしれない。ただ、圏央道をある程度利用しないなら、ETC2.0のメリットはほとんどない。
近い将来、古いETC車載器の一部が使えなくなるが、「2.0じゃないとダメになる」ということもない。実は、初期の2.0にも、いずれ使えなくなる機種があるくらいだ。
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