■電欠はロードサービスを呼ぶしかないが……
EVが電欠になった場合の対応は現在のところどうなっているのか、気になる人も多いだろう。実は10年前にJAFは日産と共同で、給電機能が搭載されたロードサービスカーを製作し、EVの電欠に対して駆け付けて充電するという実証実験を行ったことがある。その実験は終了しているが、その後どうなっているのだろうか。
結論から言うと、給電機能付きのロードサービスカーは現在は使われていない。というのも、この10年の間に充電ステーションの整備が進んだこともあって、通常のロードサービスカーで充電ステーションまで牽引していくことで対応できるようになったからだ。
つまり、もし電欠になってしまった場合、ロードサービスを要請してサービスカーが到着し、最寄りの急速充電ステーションまで牽引していってもらい、そこで充電することになる。そうなると電欠になった場合、走行可能な状態に復活するまでには2~3時間は要するとみておいたほうがいいだろう。それくらい時間に余裕があれば問題ないが、仕事の足に使う場合はそこまでゆったりと待つ余裕はないハズだ。
このところ急速にEVに注目が集まっているが、JAF広報室によればJAFでは給電車などを新たに配置するようなことは検討していないようだ。今後、EVの販売比率が高まってくれば、いずれは給電機能付きのロードサービスカーが導入されるかもしれないが、現時点ではその予定も計画もなさそうだ。
また給電車の製作などを行なっている企業、京都のモビリティープラスにも話を聞いてみたが、以前から給電車を商品として用意しているが、まだ納入した実績はほとんどないようだ。給電車の需要はもっぱら北海道など厳寒の地や山奥でEVの開発テストなどを行なうメーカーが、近くに充電ステーションがないことからレンタルで給電車を利用している、というものらしい。
バッテリーの充電残量はあっても、大雪などでスタックしてしまい立ち往生してしまった場合、どうするか。単独であればロードサービスによる救援を要請することになるし、高速道路などで多数のクルマが立ち往生している状態であれば、周囲のクルマと一緒に道路公団のパトロールカーなどのサポートを受けることになる。
どちらにせよ、その場で充電することはできないので、電欠になってしまったら牽引して充電ステーションまで運ばれることになる。それだけならまだいいが、救援を待つ間に電欠になってしまうと暖房も使えなくなってしまう。低体温症などになってしまう危険性もあるので、もし立ち往生したら早めに救援などの行動を起こすべきだし、寒冷地にEVで行く際には、毛布などの防寒グッズを忘れずに積み込むことだ。
■ゲリラ豪雨や台風などの大雨時も大丈夫?
EVやハイブリッド車は純エンジン車と違い、高圧の大電流を利用しており、漏電や短絡の不安もある。特に大雨で道路が冠水してしまっている時など、純エンジン車と同じ感覚で走行していいのか、気になるところだ。
自動車メーカーは当然、冠水時などを想定した走行テストもしており、中国や米国ではEV用のリチウムイオンバッテリーの水没試験を義務つけていて、現在はISOでもEVのバッテリーの品質に関するさまざまな試験の規格化が進められている。そのため、少々の冠水程度であれば問題なく走行できる。
しかし、大きく冠水してしまった場合や、運悪く水没してしまった場合は要注意。その場では問題なくても、時間が経過してからは火災などの原因になることがあるため、走行前にはディーラーなどで点検してもらうことだ。
実はこれは純エンジン車でも、基本的には同じだ。水没して時間が経つと、電装品などが腐食してショートしたりする可能性があり、火災などのリスクが高まる。
衝突事故などによるバッテリーの損傷も、ボディの保護構造と、バッテリーに対して外部から圧力を加える試験などが実施されているため、ほとんどの場合は問題ないだろう。ただし、衝突事故は千差万別。同じような事故でもバッテリーへのダメージは異なる。
まだまだEVに関する経験値が浅い日本では、今後ユーザーが増えて色々なトラブルやハプニングを経て、対処法が確立される部分も大きい。現在のところ慎重派はまだ様子見で、新しモノ好きがEVの利便性や楽しさを味わう時期と言えそうだ。
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