■残価設定ローンで購入する場合も有利
そして最近は残価設定ローンを使うユーザーが増えており、この買い方になるとヤリスクロスはさらに有利になる。ヤリスクロス2WD・Z(221万円)は、3年間の残価設定ローンだと、均等払いで月々の返済額が4万100円だ。
ヤリスクロスはリセールバリューが高いと予想され、3年後の残価率(新車価格に占める残価の割合)も52%まで高めたから、返済するのは48%で済む。その結果、月々の返済額も抑えられた。
一方、コンパクトカーのヤリス2WD・Z(192万6000円)は、メーカーオプションのアルミホイール(8万2500円)を装着してヤリスクロス2WD・Zと条件を合わせた場合、3年間の残価設定ローンだと、月々の返済額が4万3000円になる。
つまりヤリスクロス2WD・Zの価格は、ヤリス2WD・Zに比べてオプション込みでも20万1500円高いのに、残価率の違いにより、月々の返済額は2900円安い。ヤリスにアルミホイールのオプションを加えた場合、3年後の残価率は39%と低いから、ヤリスクロスに比べて月々の返済額が増えてしまった。
こうなると残価設定ローンを利用するユーザーは、ヤリスよりもヤリスクロスに魅力を感じる。販売面の条件も含めて、ヤリスクロスは好調に売れているわけだ。
■現時点で両車はトヨタ車同士の競争の勝ち組
このほか2020年5月から、トヨタの全店で全車を扱うようになった影響もある。ライズやヤリスクロスのような人気車は、トヨタの全店(約4600店舗/日産やホンダの2倍以上)が販売するから、売れゆきも伸びる。
その半面、不人気車は売れゆきを下げてしまう。例えば最近のC-HRは、売れ筋カテゴリーのコンパクトSUVでありながら、前年に比べると需要を40~50%減らしている。ライズとヤリスクロスが好調に売れる背景には、C-HRなどの需要を奪っている事情もあるわけだ。
このようにライズとヤリスクロスは、トヨタ車同士の競争に勝ったこともあって好調に売れている。そして今は勝車になっているライズとヤリスクロスだが、将来も継続的に安泰とは限らない。全店が全車を扱うようになった影響もあり、トヨタ車同士の競争も激しくなってきた。
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