■ソリオには広告塔となるストロングHV仕様が必要 !?
商品力の違いにも注目したい。ソリオとルーミーを比べると、売れ筋グレードの動力性能、エンジンノイズ、燃費、走行安定性、操舵した時の挙動変化の正確性、乗り心地、後席の座り心地などにおいて、ソリオが優れている。ルーミーは背の高い軽自動車の販売急増に対抗すべく、約2年の短期間で開発されたから、造りの粗さが目立ってしまう。
ルーミーのメリットとしては、収納設備が多く、荷室床面を反転させると汚れを落としやすい素材も貼られている。ソリオを意識して便利に使えるコンパクトカーに仕上げたが、総合的には先代型の段階からソリオが勝っていた。ソリオが2020年にフルモデルチェンジを行い、さらに商品力の差が拡大している。ルーミーを選ぶ時は、ソリオも試乗して、納得した上で購入していただきたい。
ソリオでは、このような優位性の訴求が不十分だ。スズキが軽自動車を中心に売ることまで含めて、ソリオは総じて販売力が弱い。
このほかソリオの場合、先代型のフルハイブリッドを廃止したこともマイナスに作用した。先代型のフルハイブリッドは、今でも採用されるマイルドハイブリッドと比べた場合、価格差の割に燃費数値が低い。価格差を燃料代の差額で取り戻すのに、27~28万kmの走行を要した。
ATも異なり、フルハイブリッドは有段式の5速AGSを採用した。この運転感覚も、マイルドハイブリッドの一般的なCVT(無段変速AT)に比べて馴染みにくく、フルハイブリッドの販売比率は5~10%と低迷した。
そのためにフルハイブリッドは現行型で廃止されたが、ほかの車種を見てもユーザーの関心は高い。例えばヤリスクロスでは、60%以上をフルハイブリッドが占める。今後ソリオが売れ行きを伸ばすには、フルハイブリッドを復活させ、使い勝手を改善して、燃費を向上させる必要がある。
スズキで最も多く売られる小型/普通車では、以前からソリオが定番だ。改善を加えれば、売れ行きは必ず伸びる。特に今は冒頭で触れたとおりコンパクトカーの販売比率が増えているから、ソリオにとってチャンスが訪れている。
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