ヤリスが21年ぶりの欧州カーオブザイヤー受賞! 本場欧州で評価された日本車は?
トヨタのグローバルコンパクトカー、ヤリスが欧州のカーオブザイヤーを受賞したことが話題となっている。本場欧州でドイツやフランスなどのメーカーを差し置いて高い評価を得るのは至難の業。
そこで、欧州でこれまで高く評価された日本車を、世界カーオブザイヤーの選考委員でもある筆者が解説。過去の優秀な日本車はどのような部分が評価された?
文/松田秀士 写真/TOYOTA、NISSAN、SUZUKI
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■欧州COTY受賞のヤリスは何が評価された?
トヨタ ヤリスが、欧州COTY(欧州カーオブザイヤー)の栄冠に輝いた。これは本当に凄いこと。そのあとに続く順位を見ればより明確なのだが。欧州COTYは59人の選考委員によって選ばれる。
その主だった得点は、
1位:ヤリス/266点、2位:フィアット ニュー500/240点、3位:クープラ・フォーメンター/239点、4位:フォルクスワーゲンID.3/224点だった。
ここで注目なのが2位フィアットと3位のフォルクスワーゲンはともにEV。つまり、欧州の環境規制にフォローであること。これは欧州COTYでの競争上有利に働くウェポンであることは間違いない。またメーカーからのロビー活動もあったに違いない、と想像するのだ。
しかもヒエラルキーの欧州。フォルクスワーゲンID.3が4位であることが不思議なくらいなのだ。そのような環境のなかでヤリスがトップを獲ったということそのものに驚きを感じる。
さらに言うと、ヤリスはEVではないHV(ハイブリッド)。環境ヒエラルキーの中では序列が低いHVのヤリスが勝ったのだ。要因として考えられるいくつかがある。
まず優れた環境性能だ。ヤリスハイブリッドは驚異的な燃費性能を持っている。コンベンショナルなガソリン仕様も3気筒の1.5Lと1.0L。超コンパクトなボディサイズ。そして、アグレッシブなエクステリアデザインだ。超コンパクトは軽自動車の国・日本ではあまり重視されないが、欧州では話が異なる。
過去に欧州には試乗会やレース活動で何度も足を運んだが、イタリアやフランス車の超コンパクトモデルに、ルームミラーが役に立たないほど荷物をいっぱい積み込んで走る姿を高速道路でよく見かけたものだ。
そのほとんどが積み荷からロングバケーションだと想像できるというもの。つまり普段の通勤やスーパーなどは超コンパクトの方が利便性に長けるわけで、同じクルマで家族や友人と遊びに行くこともいとわない。クルマそのものの造りとハイブリッドによる環境性能。これは日本車のお家芸といってもいいだろう。
筆者自身WCOTY(ワールドカーオブザイヤー)の選考委員を務めさせていただいていることからも、今回のヤリスの受賞はとても興味深く、また嬉しいことなのだ。
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