バブルの帝王 W126型ベンツSクラスの現在地 名医と20代オーナーが赤裸々に語る!

バブルの帝王 W126型ベンツSクラスの現在地 名医と20代オーナーが赤裸々に語る!

 メルセデス・ベンツのフラッグシップモデルとして、常に一目置かれる存在であり続けるSクラス。時代をリードする最先端技術を惜しみなく投入し、世界の自動車の指標とされているのは言うまでもない。

 そんなSクラスの歴代モデルの中でも、いまだに語り継がれる名作がW126型のSクラス。

 なかでも「ゴーロクマルじゃないとSじゃない!」と西武時代の清原和博選手が豪語していた(記憶がある)のが560SEL。このモデルの現在の中古車相場は500万〜1200万円と高騰中! バブル以来のちょっとした人気再燃となっている。

 そこで、メルセデス・ベンツ 560SELに乗っているという知り合いに会って実車を観察。

 さらにメルセデスの守護神と呼ばれる名メカニックにも取材。W126のメンテナンスポイントについて教えてもらった。そして最後に、20代でW126に心底惚れているという、2人のオーナーを紹介しよう。

文/北沢剛司 
写真/ダイムラーAG ベストカーweb編集部

【画像ギャラリー】バブルの帝王 W126型ベンツSクラスは30年経った今も健在なのか?  現存するW126を写真でチェック!


■バブルの申し子! W126型のメルセデス・ベンツSクラス

初期型のエントリーモデルだった280SE
初期型のエントリーモデルだった280SE

 W126のSクラスがデビューしたのは1979年。排ガス規制をきっかけにした燃費改善のため、空力的なスタイリングの採用や車体の軽量化を実施。安全装備ではABSの標準装備やエアバッグの採用など、現代のクルマでは常識となった装備をいち早く採用していた。

 ボディバリエーションは、上記の標準仕様に加え、ホイールベースを140mm延長したロングボディを用意。さらにクーペモデルもつくられている。

 日本仕様のセダンは、まず2.8L、直6エンジンを搭載する280SEが導入され、3L、5気筒ターボディーゼルの300SDと3.5L、V8エンジン搭載の350SELを追加。さらに5L、V8エンジンを搭載するトップモデルの500SELが導入された。

 1985年にはマイナーチェンジを実施。エンジンのパワーアップを図るとともに、前後バンパーと「サッコプレート」と呼ばれるボディ下部の樹脂パネルの形状を変更。ホイールは15インチのディッシュタイプに一新され、いわゆる後期型になった。

 日本仕様には、3L、直6エンジンを搭載する300SEと、4.2L、V8エンジン搭載の420SEL、そして最高峰モデルには、5.6L、V8エンジンを搭載する560SELがラインナップされた。

 この後期型の登場と日本のバブル期が重なったこともあり、W126型のSクラスは名実ともに成功者の象徴として絶大な存在感を発揮していた。

 特にラインナップの頂点に君臨していた560SELは、排気量5546ccのV8、SOHCエンジンがもたらす豪快な加速感と、優れたロードホールディング性能で圧倒的な人気を獲得。

 傍若無人な走りにもしっかり対応できる懐の深さゆえ、高速道路では渋滞中の本線を尻目に路肩を全開でカッ飛んでいく姿をよく見かけたものだ。

ダークカラーとロングボディの組み合わせで圧倒的な存在感を発揮した560SEL
ダークカラーとロングボディの組み合わせで圧倒的な存在感を発揮した560SEL

 560SEL(V126)は、本国仕様では300馬力を発揮していたものの、排ガス対策が施された日本仕様は245馬力にとどまっていた。

 そのため、ディーラー車よりも高出力で安い価格を付けた並行輸入車が日本に数多く持ち込まれ、市場にはディーラー車、新車並行、中古並行のSクラスが入り混じる展開となった。そのため日本向けの対策が不十分な安い中古並行車を買って、トラブルに見舞われる例も少なくなかった。

新車当時の560SEL、コクピットの写真。ウォールナットのウッドパネルやクライメイトコントロールACのスイッチ類などが懐かしい
新車当時の560SEL、コクピットの写真。ウォールナットのウッドパネルやクライメイトコントロールACのスイッチ類などが懐かしい

 そんな混沌とした状況が落ち着いたのは最終期。1989年に日本仕様の触媒が変更され、最高出力が245馬力から285馬力へパワーアップ。本国仕様との差が縮まったことで並行輸入車は急速に数を減らしていった。また、標準ボディの最高峰モデルとなる500SEが新たに追加されている。

 W126は1991年に後継のW140に道を譲ったが、歴代Sクラスのなかでもっとも長く生産された人気モデルであり、W201の190シリーズ、W124のミディアムクラスと並ぶネオクラシックの傑作として、現在も根強い人気を誇っている。

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