トヨタ社長がGRヤリスでクラス優勝!! 道楽なんて言わせない!! ラリーこそ「いい車作り」の実践だ!!

トヨタ社長がGRヤリスでクラス優勝!! 道楽なんて言わせない!! ラリーこそ「いい車作り」の実践だ!!

 クルマ初心者や自動車部から大小企業までが参加する『TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge(通称:ラリチャレ)』シリーズをご存知だろうか。レースに比べると比較的「草競技」のイメージがあるかもしれないラリー競技大会の中でも、サポーター達との距離が近いのが同シリーズ最大の特徴だ。

 ラリチャレの前々身である『TRD ヴィッツチャレンジ』のプレ開催から数えて約20年を迎える2021年。3月14日に広島県安芸高田市で、まさにVitzの正統系譜かつ究極進化と言っていい「GRヤリスが出走する」とのニュースが入った。

 マシンのハンドルを握るのは、トヨタ自動車の豊田章男社長……に“よく似た”、ラリードライバーのモリゾウ選手だ。

 海外の自動車メディアの辛口評論家をも「このクルマの事ばかり夢にみるよ!」と言わしめるGRヤリス。開発の味付けにもマスタードライバーとして参加したモリゾウ選手が、今度は公道も走るラリーで自ら選手として「楽しみながら走る」姿をみせた。

 そんなモリゾウ選手と、それを支えた仲間たちの1日をお届けしたい。

文、写真/西尾タクト

【画像ギャラリー】世界初スクープ! トヨタ社長の手でGRヤリスがクラス優勝の走り


■世界にその名を知らしめた『GAZOO Racing WRT』

TGR RC安芸高田はダートトライアルでも有名な『テクニックステージタカタ』のグラベル(未舗装)コースを使用する。「ラリー車はグラベルとスノー(雪道)で輝く」と言わしめる、砂利や土煙とのマッチングを見よ!
TGR RC安芸高田はダートトライアルでも有名な『テクニックステージタカタ』のグラベル(未舗装)コースを使用する。「ラリー車はグラベルとスノー(雪道)で輝く」と言わしめる、砂利や土煙とのマッチングを見よ!

 今さら説明するものでもないが、『GRヤリス』と言えばトヨタが2020年に満を持して送り出したスペシャリティコンパクトスポーツ。

 その開発系譜をたどれば、2017年シーズンに「我々トヨタは、世界ラリー選手権(WRC)に“復帰”ではなく新たに“参戦”させていただく」と宣言した豊田章男社長の言葉にたどり着く。

 苦心の’17年シーズンを超え、’18年には見事マニュファクチャラーズタイトルを奪取。名実ともに、海外でもトヨタワークスチームである『TOYOTA GAZOO Racing WRT』の名が認識されることとなった。

■トヨタラリーチームの国内認知度を上げるべく、あの男が立ち上がった

静かな安芸高田市内や、マツダのテストコースがある隣の三次市。もちろん広島市内や山陰地方からの観戦も多く、コロナ禍のルールは守りつつみんな久しぶりの祭りを満喫していた
静かな安芸高田市内や、マツダのテストコースがある隣の三次市。もちろん広島市内や山陰地方からの観戦も多く、コロナ禍のルールは守りつつみんな久しぶりの祭りを満喫していた

 さて、海外では着実にファンを増やすトヨタのラリーチームだが、まだモータースポーツとお祭り的な側面が結び付かない日本においてその認知度は高くない。それを払拭しようと立ち上がったのが、豊田章男社長ではなく“モリゾウ選手”なのである。

 2011年にトヨタ86(ZN6)が発売されるや、すぐに86のラリーマシンで出走した事は記憶にも古くない。

 だが、元々モリゾウ&GAZOO Racingの活動を会社(トヨタ)は認めてくれたものではなかったという。当初は自分でアルテッツァの中古車を探してきて自腹でマシンとしての改造を施し、いわゆる社内の「モータースポーツ部」のような範囲で活動していたそうだ。

 そこから苦節10年。WRCやWECが盛りあがる一方で、忙しい本職の合間を縫って国内各地のお祭りとして定着させようと奔走したモリゾウ選手。

 開発にも携わったというGRヤリスで満を持しての出走で、’21年初戦となる『ラリチャレ安芸高田(広島)』ラウンドにおいて見事「クラス優勝」を飾ったという次第だ。

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