17週連続でガソリン価格値上がり! ガソリンは土日祝日に入れるのが一番安いのか?

相場と税が重なり合った複雑系商品

ガソリン1L当たりの東京都区部のガソリン小売価格(出典:総務省)
ガソリン1L当たりの東京都区部のガソリン小売価格(出典:総務省)

 このような最近のガソリン価格の急上昇の難しい理由を考える前に、ガソリン価格がなぜ変わるのかを簡単におさえておきたい。

 ひと言でガソリン価格といっても、基本的な流通を踏んでいく段階で、1.原油価格、2.卸価格、3.小売価格、これに地域的な事情によって変化する“周辺市場価格”というべき値付けや、現金払いやクレジットカード利用など購入方法によって支払額が変わってくるのだから、なんともはや複雑だ。

 順に追っていけば、根本にあるのが1.の原油価格。ニュースなどで耳にしたことがあると思うが、世界的な原油先物相場の指標であるWTI(米国標準油種)の価格を見れば、昨年4月の1バレル当たり20円を下回り10ドルを切る寸前の価格から3月16日時点で1バレル当たり64.80ドルと、この2年での最高値に近づいていることが、現在の原油価格高騰に大きく影響している。これに為替相場まで考慮するとなると頭が痛くなってくる。

 直近ではスエズ運河で航路を塞いだ大型コンテナ船の影響で、原油輸送の混乱が長引くとの懸念から、ニューヨーク市場の原油先物は3月26日、1バレル60ドル台と前日比4%上昇した。復旧が長引けばさらに上昇する懸念が出ている。

 ともかく、原油相場の変化と市場価格に反映されるまでのタイムラグが、石油製品ビジネスに関して損益を生み出す要因であることも押さえておきたい。

 次の2.の卸価格は、大雑把に言えば日本では元売各社などが輸入した原油をどう捌くのかで決まってくる。製油所で原油を重油、ガソリン、軽油、灯油、ジェット燃料、ナフサに精製して商品として販売するうえで、マーケットでの流通過程において、各社の輸入/生産にかかるコストや中間マージンにガソリン税などの“諸税”が加わり、元売各社と契約した特約店に卸価格で提供される。

 最終的に消費税が加わって、ようやく3.の小売価格に辿り着くことになる。消費者としては、小売価格に半分を占める税金が上乗せされたものであることを忘れてはいけない。

土日祝日に給油するのが狙い目?

価格が安いGSとして知られる某店。会員価格だが、3月23日火曜日にレギュラーガソリンが142円、ハイオクが153円だったのが、28日日曜日には写真のようにレギュラーガソリンが140円、ハイオクが151円と17週連続値上りのなか、若干日曜日のほうが安くなっているのがわかる
価格が安いGSとして知られる某店。会員価格だが、3月23日火曜日にレギュラーガソリンが142円、ハイオクが153円だったのが、28日日曜日には写真のようにレギュラーガソリンが140円、ハイオクが151円と17週連続値上りのなか、若干日曜日のほうが安くなっているのがわかる

 難しい話はこれくらいにして、実際に購入する際にどれだけ安く購入できるかを考えてみると、まず頭に浮かぶのは、曜日による差を考えてガソリンスタンドに出向くことだろう。

 たとえば、仕事終わりの金曜日夕方に順番待ちで路上に溢れて混み合っているガソリンスタンドを見かけるが、購入タイミングとしては賢明とは言えないはずだ。

 売る側のガソリンスタンドの立場からすれば、普段はクルマを使って出歩かないようなユーザーがガソリンを購入することになる「土日祝日」に、集客を狙って店頭価格を抑えて販売する傾向がある。

3月1日~3月27日のレギュラーガソリン全国平均価格の値動き。17週連続で値上がり傾向にあるため土日に安いとは一概には言えなくなっているが3月21日(日)144.7円→22日(月)145.4円となり、23(火)145.8円、24日(水)146.1円、25日(木)146.3円、26(金)146.4円、27(土)146.1円と土日に安くなっている(出典/gogo.gs)
3月1日~3月27日のレギュラーガソリン全国平均価格の値動き。17週連続で値上がり傾向にあるため土日に安いとは一概には言えなくなっているが3月21日(日)144.7円→22日(月)145.4円となり、23(火)145.8円、24日(水)146.1円、25日(木)146.3円、26(金)146.4円、27(土)146.1円と土日に安くなっている(出典/gogo.gs)
3月1日~3月27日の東京都のレギュラーガソリン平均価格の値動き。3月20日(土)143.5円、21日(日)143.6円、22日(月)143.9円、23日(火)144.2円、24日(144.8円)、25日(木)145円、26日(金)145.1円、27日(土)145.2円。依然として値上がり傾向が続いている(出典/gogo.gs)
3月1日~3月27日の東京都のレギュラーガソリン平均価格の値動き。3月20日(土)143.5円、21日(日)143.6円、22日(月)143.9円、23日(火)144.2円、24日(144.8円)、25日(木)145円、26日(金)145.1円、27日(土)145.2円。依然として値上がり傾向が続いている(出典/gogo.gs)

 ガソリンスタンドの価格設定をどう変えるのかについては、取材をかけてもなかなか本音を聞くことは簡単ではないのはご想像の通り。

 それでもかつて匿名で取材を受けてもらえたガソリンスタンドの店長経験のある方によれば、元売り会社は週決めされる卸価格で契約している特約店(ガソリンスタンドを経営している会社)に卸していて、店頭での小売価格には関与していないことを前置きしたうえで、「基本ガソリンスタンドの地下タンクは最低でも1万Lくらい貯蔵しているから、その卸価格で仕入れたガソリンが入れ替わるまで1週間ほどかかる」とのこと。

 卸価格がリッターあたり10円下がっても、現状タンクにあるガソリンは10円高い時に仕入れたモノなので、卸価格とタイミングが一致しないことは多い。

 週末が安いケースは土日だけ運転するサンデードライバーが給油に来ることが見込まれるので、土日は『本日特売日』などの看板を掲げて、集客する場合が多いから。

 そして週明けの月曜日、業務で使う車両が多く動き出す日は価格を戻しておくみたいな流れになっているそうだ。

 でも、その一方で大型連休前など必ず多くの集客が見込める時は価格を上げる、あるいは下げずにそのままというケースもある。

 また高速道路のIC近くのGSなんかも、給油に来るお客さんも多いからかなり高めの設定になっているケースが多いという。

 普段の週末で売れ行きが悪い時は価格を下げて、高くても売れる時(集客が望める場合)は上げる、というのが基本となっているそうだ。これはどのGSでも言えるとのこと。

 しかし、17週連続で値上がりが続いている昨今の状況では、当てはまらないのではと思い、先週の平日3月23日火曜日と、28日日曜日の価格を都内の激戦区にあるGSのガソリン価格を調べてみた。

 会員価格だが、3月23日火曜日にレギュラーガソリンが142円、ハイオクが153円だったのだが、28日日曜日にはレギュラーガソリンが140円、ハイオクが151円と、17週連続値上りのなか、若干日曜日のほうが安くなっているのがわかった(現金一般価格は会員価格より1円安)。

 そのGSから1kmも離れていない激安で有名な某GSでも3月20日土曜日、3月21日日曜日にはレギュラーガソリンが135円、ハイオクが145円だったが、3月22日月曜日にはレギュラーガソリンが140円、ハイオクが150円と一気に5円も上昇(現金会員看板)。ただそれから28日日曜日にかけてレギュラーガソリンが140円、ハイオクが150円と変わっていない。おそらく29日月曜日に価格がアップする可能性が高い。

 また、地域によっては街道沿いの激戦区などで各店の価格が揃っているように思えることがあるのは、「アルバイトに看板を見てきてもらったり、看板が出ていない場合は試し買いという名目で価格調査はしていた」という。

 このため場合によっては時間によって価格を変えることもあるから、ネットやLINEの店舗のキャンペーンなど、価格情報をこまめにチェックしておくことも、少しでもガソリン代を節約するためには必要な努力といえそうだ。

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