■スズキ パレット/2008年
今は軽乗用車の約半数をスペーシア、N-BOX、タントのようなスーパーハイトワゴンが占める。前輪駆動ながら、全高が1700mmを超えるボディにスライドドアを装着することが特徴だ。
スズキにとって最初のスーパーハイトワゴンは、2008年1月に登場したパレットであった。当時N-BOXは発売前だが(初代の発売は2011年)、初代タントは2003年に登場して注目されていた。そこでスズキは、全高が1700mmを上まわり、スライドドアも装着する画期的なパレットを開発した。
ところがパレットが発売される直前の2007年12月に、タントが2代目にフルモデルチェンジされ、左側にピラー内蔵型のスライドドアを装着した。右側は前後ともに横開きドアだが、左側は開口幅がワイドで注目を浴びた。
しかもパレットは全高が1735mmと低めで、ボディサイドの上に向けた絞り込みは強めだから、視覚的な引き締まり感や安定感が伴う代わりにボディがタントよりも小さく見えた。
パレットが発売された翌年となる2009年の届け出台数は月平均で5178台だ。一番売れる時期なのに伸び悩み、この時にタントは1万2120台を届け出したから、パレットは半数以下に留まった。
そこで2013年に登場したモデルは、車名をスペーシアに変更した。ボディサイドの上に向けた絞り込みも弱め、ボックス感覚と車内の広さを強調している。発売された翌年の2014年には、月平均で1万台以上を届け出した。
2017年には現行型にフルモデルチェンジされ、2018年には月平均で1万2675台、2019年には1万3866台を届け出した。タントを抜き、N-BOXに次ぐ売れ行きだ。パレットの反省に基づく改善が、スペーシアをヒット車種に育て上げた。
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