クルマは凶器にもなる。そんな言葉を免許の更新時に嫌ってほど聞いたドライバーは多いだろう。しかしいまだになくならないのが無謀ともいえる交通違反。人間だれしも過ちは犯すものだが、あきらかに「ウッカリ」ではない違反もある。
それが3月に検挙された制限速度を135km/hオーバーで検挙されたという事件だ。犯行は2016年の1月というから捜査に2年もかかったことになる。
それにはわけがあって、今回はナンバープレートを取り外して、オービス(自動速度取り締まり機)通過時に速度違反を繰り返すという違反だった。
ナンバープレートがないと自動車を特定できない、というのがオービスによる速度取り締まりの現実だったはず。なぜ警察は容疑者を検挙できたのか、国沢さんに聞きました。
文:国沢光宏/写真:FCA、Shutterstock.com
ベストカー2018年4月26日号
■警察の威信をかけた追跡劇!? 今回は車種の特定は難しくはない
中央道で速度自動取り締まり機の前を235km/hで通過した無謀なドライバーが逮捕された、というニュースは皆さんご存じだと思う。
大手メディアによれば「前方のナンバーを取り外していたため警察の執念の捜査によって特定できた」。確かに前のナンバーを外されたら、特定できない気がする。
とはいえ今回の事案、希少車であるダッジ・チャレンジャーのSRT8だったため、執念燃やすほど難しかったと思えない。むしろ超簡単だったろう。
気になるのは「販売台数の多い車種で、これまた一番売れているカラーだったらどうだったか?」という点。
警察関係者などの話も参考にしつつ(本当のことは教えてくれない)、考えてみた。
まず高速道路の自動取り締まり機ならどうか。「写真撮影」で特定されるのは、場所と時間である。今や高速道路には多数の自動監視システムが設置されており、しかも出入り口でも必ず写真を撮られている。
ETC車載器付きのクルマであれば、車種など登録情報まで記録されるのだった。ということでETC車載器が付いている車両なら、カードを抜いていても情報残り、アウトになる。ETC車載器付いていない車両ならどうか?
前後のPAやSAでナンバーの取り外しや細工など行い、さらに交通量の多い東名道や中央道などは数時間単位で時間をズラすと、対象台数が飛躍的に増えるため、けっこう特定が難しくなってきます。普通ならコストパフォーマンスを考え、捜査を断念する可能性大。
けれど今回のような警察の威信に関わる235km/hという速度なら、意地になる。写真や監視システムなど駆使し、徹底的に捜索することにより、対象となる台数は絞られる。最後は足での捜査になるものの、特定は可能だろう。
ということで、前のナンバープレートを外していたり見えないようにしていても、免許を持っている普通の社会人ドライバーが、登録されている車両で速度違反した場合、警察のやる気スイッチ入ったらお縄になると考えていい。
ここまで来ると「スパイのように不法入国したドライバーなら特定できるのか?」ということが気になる。
極端なことを言えば、偽造パスポートや密航船でやってきた外国人のドライバーが天ぷらナンバー(登録されていない適当なナンバー)を付けて走っていたら、ということです。
もはや速度違反というより公安の担当ですワな。調べたり聞いたりしてみたら「そんなこと日本以外の国だってできないでしょ!」と言われました。愚問でございましたね。
どんな国にも言えるコトながら、犯罪に対する防波堤の高さには限度がある。完全なる防波堤を作ろうとしたら、一般人の社会活動に影響します。日本を除く国の大半は、入国時に荷物のチェックすらしない(日本もやってるけど100%阻止できるレベルじゃありません)。
こういった防波堤を乗り越えてくる犯罪者に対しては、違うルートで阻止しているそうな。以上、少なくともベストカー読んでる健全なヒトは捕まると思う。
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