クルマは「時代を映す鏡」と言われることがあるくらい世の中の流れなどによって大きな進化や変化を求められる。
それだけに、フルモデルチェンジの繰り返しにより、コンセプトやボディサイズなどが初代モデルと「まったく違うようになった」ということも珍しくない。
本稿では歴史を持つ名門車といえる現行車を、初代モデルからの初志貫徹度という観点で評価してみたい。
文/永田恵一 写真/編集部、HONDA、TOYOTA、SUBARU、MAZDA、SUZUKI
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シビックタイプR
初代シビックタイプRは1997年に6代目シビックに追加される形で初代NSX、インテグラに続く第3のタイプRとして登場した。
3ドアハッチバックだった初代シビックタイプRは、パワーアップに加え、軽量化、サスペンションの強化、ヘリカルLSDの装備によるトラクション(駆動力)の向上により、速さと高いコントロール性を得た。
それだけでなく、インテリアもMOMOのステアリングやレカロシートなどの採用もあり、気分を高揚させる雰囲気も上々というタイプRらしいモデルだった。
さらに価格もエアコンなどの快適装備を付けても220万円程度と若者にも買えるものだった点も大きな魅力だった。
その後、空白期間もあったシビックタイプRは、2017年登場の現行型で5代目モデルとなっている。
シビックタイプRは限定車だった先代型4代目モデル以来、欧州でいうCセグメントという車格自体は初代から共通だが、コンセプトが「ニュルブルクリンク北コース2L・FF最速車」に変わったこともあり、エンジンは2Lターボに、ボディタイプやサイズも5ドアハッチバックで全長4560mm×全幅1875mmに拡大されており、初代シビックタイプRとは、もう別のクルマである。
シビックタイプRは、初志貫徹度という観点では非常に低いが、Cセグメントというジャンルがここ20年で大きく変わったことを考えればやむを得ないと思う。
むしろ問題なのは初代シビックタイプRにボディサイズや価格が近い現行フィットにスポーツモデルがないことではないだろうか。
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