役員車はアルファードへシフト? マジェスタ廃止と「トヨタ高級車」の今後
最終型では、後席の広いショーファーカーとしての地位を確立しにいったマジェスタだが、マジェスタの存在意義はショーファードリブンだったのだろうか。
一昔前は、会社社長や役員、政治家などが乗るクルマは、決まって黒塗りのセダンだった。後席の広いLSのロングボディや、マジェスタには多くの需要が集まる。
しかし、現在の会社社長や政治家が乗るクルマと言えば、アルファード/ヴェルファイアに代表される高級ミニバンだ。アルファード/ヴェルファイアに設定された「エグゼクティブラウンジ」は、社用車として人気が高い。
トヨタの社長である豊田章男氏も、社用車のひとつとしてヴェルファイアを使っていたと聞く。
現在、ショーファーカーがミニバンに移行し、後席が広いセダンの需要も極端に落ちた。結果としてマジェスタは、クラウンと統合し廃止となる。しかし、マジェスタの存在意義は、違うところにあったのではないかと筆者は考える。
マジェスタは、トヨタの最新と最高技術を搭載し続けた。V8エンジン、ヘッドアップディスプレイ、エレクトロマルチビジョン、前側方プリクラッシュセーフティシステムなどは、すべてマジェスタから始まった装備だ。
マジェスタに乗れば、その時代のトヨタの、もっと大きく言えば日本の最新技術が詰まったクルマに乗れる。マジェスタを選んだオーナーたちは、最新と最高に乗れる歓びを感じていたのではなかろうか。
マジェスタが守ってきた最新=最高級を信じるオーナーたちはどこへ向かえばいいのだろう。現在のトヨタラインナップの中で見ると「MIRAI」がその役割を果たしてくれそうだが、トヨタからの明確なアナウンスは今のところない。
「最新技術は最高級車から」という風潮がなくなり、コンパクトやエントリーモデルにも惜しみなく、最新技術を盛り込むようになってきた。マジェスタの根本である、最高や最上級という価値観が分かりにくくなったようにも思う。
新たな価値観がクルマに対して求められている今、マジェスタの廃止は、トヨタが新たな方向へ舵を切った現れなのではなかろうか。トヨタがクルマの新たな価値観に対して、どのような提案をしてくるのか、今後の動きに注目していきたい。
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