■ステージアオーテックバージョン260RS [1997年登場]
1993年に登場したC34型ローレルとR33型スカイラインをベースにしたステーションワゴンとして1996年に登場した初代ステージアは、ローレルやスカイラインも含め低迷していた4ドアセダンが多かった当時の日産車では、堅調に売れていたモデルだった。
という背景もあったためなのか、初代ステージアに広い目で見れば遠くない関係のあるR33型スカイラインGT-Rの中身をほぼそのまま移植したのがステージアオーテックバックバージョン260RS(以下260RS)である。
260RSはR33型スカイラインGT-RのRB26DETT型エンジンと4WDのアテーサET-Sというパワートレーン、それにブレンボ製ブレーキなどを搭載。つまり、簡単に言えば見えないところは初代ステージアからR33型スカイラインGT-Rになっており、パワーアップに対応するための各部バーを追加するなどのボディ補強も施された。
ただし、タイヤはR33型スカイラインGT-Rほど太くはなっていない。
インテリアの変更は3連メーターや1万回転まで刻まれたタコメーターが目立つ程度だったが、エクステリアは専用の大型ルーフスポイラーをはじめとしたエアロパーツが装着されるなど迫力あるものとなっており、歴代日本車最強ステーションワゴンはおそらくコイツである。
■スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー(R33) [1998年登場]
GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーは、1998年にスカイラインの誕生40周年を記念して作られたモデルだ。
見た目は、一見フロントマスク以外に強い迫力は感じないものの、写真を見てのとおりR33型スカイラインGT-Rを4ドアセダンにしたモデルである。
GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーは中身がGT-Rであるということ以上に凄いのが、インテリアとエクステリアの仕上がりだ。
インテリアはフロントシートをGT-Rと同じ一体型バケットシートとしたのに加え、リアシートも左右独立のバケット風となった2人掛けに変更されているのだった(乗車定員4人)。
エクステリアも2ドアのGT-R同様にワイドボディ化され(特にリアのフェンダーのワイド化は大変な手間だ)、タイヤも2ドアのGT-R同様の245幅を履く。
なお、GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーの価格は約500万円と2ドアのGT-Rの標準車と同等だった。GT-Rを4ドアにするという手の込んだ作りのモデルだったことを考えると、価格は超リーズナブルだった。
■シルビアオーテックバージョンK’s MF-T [1997年登場]
1993年登場の6代目シルビアであるS14型はボディサイズの拡大などにより、クルマ自体のポテンシャルは高かったものの、売れゆきでは大ヒットした先代モデルのS13型のような勢いは失ってしまった。
それでもポテンシャルの高さにより、チューニングのベース車としてはFR車ということもあり魅力的ではあった。
だたし、その点に関しては「現在のトヨタ86やスバルBRZ(どちらも次期型が出るまで生産終了となっている)と違って、ノーマルのまま乗るのは厳しいため、買ってからチューニングにお金が掛かる」という声も当時は多かった。
このような声に対する日産の回答ともいえたのが、S14型シルビアの末期モデルに設定されたオーテックバージョンK’s MF-Tである。
オーテックバージョンK’s MF-Tは機能面をエンジンから見ていくと、専用タービンとマフラーの採用、それに伴うコンピューターやインジェクターの変更により最大トルクは基準車と同じ28.0kgmながら、最高出力は220馬力から250馬力に向上。
足回りも専用スポーツチューンドサスペンションに、ホイールはサイズこそ16インチのままながら専用品を採用し、タイヤも205幅から215幅となったリプレイスのブリヂストンポテンザRE710Kaiを組み合わせた。
インテリアはステアリングがエアバッグ付きのモモに変更されたくらいだが、エクステリアでは巨大なリアスポイラーが装着されたのが大きな特徴。
価格は299万円とターボエンジンを搭載する標準のK’sのMTが239万5000円だったのを考えると、「差額で自分好みにチューニングしたほうがいいか」とも感じるものだったが、それでもメーカーからS14シルビアのポテンシャルを引き出したモデルが出たという意義は大きい。
また今になるとS14シルビアのオーテックバージョンK’s MF-Tは、ノーマル状態での性能をS14型から大きく向上したシルビアとしては、シルビア最後のモデルとなった1999年登場のS15型の予告編的なモデルだったのかもしれない。
コメント
コメントの使い方