実費なら5万円以下!? なぜ高い?? 車検の費用と意外と知らない中身の実態

灯火類やタイヤから発煙筒まで!? 車検は何を検査している?

車検の検査ラインでは、ヘッドライト、フォグランプ、タイヤの残り溝、ワイパーの状態、ブレーキ、下廻りなどの各検査を合格することで車検は完了する(xiaosan-Stock.Adobe.com)
車検の検査ラインでは、ヘッドライト、フォグランプ、タイヤの残り溝、ワイパーの状態、ブレーキ、下廻りなどの各検査を合格することで車検は完了する(xiaosan-Stock.Adobe.com)

 車検の検査ラインに並んでいると係官が回ってきて、書類に書かれた車台番号などがクルマと整合するかをチェックします。

 続いてヘッドライトやフォグランプ、ブレーキランプ、ハイマウントストップランプ、ウインカー、ハザードランプなどの点灯状態をチェックします。

 フォグランプが点灯しなくても道路を走ることはできますが、車検時は点灯するものはすべてが正常に点灯しないとだめです。タイヤの残り溝、ホイールの締結状態、ホーン、ワイパー、ウォッシャー液、発煙筒などもチェックします。

 検査ラインに入ると、排ガス、サイドスリップ、スピードメーター、ヘッドライト、ブレーキ、下廻りの各検査を経て、総合判定ということになります。

 ノーマル状態で無事故のクルマであれば、排ガスやサイドスリップで落ちることはまずありません。スピードメーターもタイヤサイズを変更していなければまず大丈夫です。

 ヘッドライトは光量と光軸を検査します。ヘッドライトレンズが白濁しているものは光量が足りなくなることもあります。光軸は、ヘッドライトの取り付け位置がずれることで発生するので、ちょっとぶつけていたりするだけでもずれることがあります。

 ブレーキはブレーキパッドの残量などをチェックするのではなく、40km/hで回転するローラー上(クルマを走らせるのではなく、路面に相当するローラーが回転している)での急ブレーキによる減速状態、サイドブレーキの効き具合がチェックされます。

 下回り検査ではクルマに振動(想像を超えるガタガタさ)を加えてサスペンションやステアリングまわりのチェック、各種オイル漏れなどが検査されます。これらの検査すべてが合格になり、総合判定でOKとなれば車検合格で、標章が発行されます。

ディーラー車検は1週間!? なぜ長い?

 自動車の分解整備を「業」として行えるのは、国から認可を受けた認証工場と指定工場だけです。このうち、指定工場では工場内で車検を行うことができます。指定工場には車検に必要な機材と資格者がいます。このため民間車検場などという呼び方をされることもあります。

 認証工場は車検の整備を行って、車検場にクルマを持ち込んで車検を受けます。認証工場の車検の流れはユーザー車検とほぼ同じです。

 ディーラーの多くは指定工場ですし、民間の整備工場でも指定工場となっているところがたくさんあります。また、大型カー用品店などでも指定工場となっているところがあります。指定工場での車検のメリットは、時間が早いことです。

 車検場の検査は予約をして行わなくてはなりませんが、自社で車検の検査が行えれば予約の必要はありません。

 ディーラーでの車検は、クルマを預かって点検整備をして、自社の車検設備で検査、書類を運輸支局に持ち込み(クルマそのものは持ち込まない)、車検証と車検標章を受け取り、車検標章を張り替えて納車となります。おおよそ2~3日から1週間くらいクルマを預けることが目安になっています。

 ディーラーの場合は、車検に必要な整備だけでなく、その車種に求められるさまざまな点検や部品交換などを行うため、期間が長くなることが一般的です。

ユーザー車検なら5万円以下!? なぜディーラー車検は高いのか?

自動車重量税と自賠責保険を減額することができないが、点検費用、整備費用、手数料は自由に設定することができ、それが車検費用の差につながる(umaruchan4678-Stock.Adobe.com)
自動車重量税と自賠責保険を減額することができないが、点検費用、整備費用、手数料は自由に設定することができ、それが車検費用の差につながる(umaruchan4678-Stock.Adobe.com)

 小型車(5ナンバー車)で、車両重量1250kg、初回、各種減税なしで、ユーザー車検の場合にかかる費用は次のようになります。

・自動車重量税:2万4600円
・自賠責保険料:2万10円
・検査手数料:1700円

の合計4万6310円です。

 普通車の場合は検査手数料が100円高くなりますし、自動車重量税は重量によって異なりますが、車検にかかる費用はこの程度のものなのです。

 では、なぜ業者に依頼すると費用がかさむのでしょうか?

 それは手数料や点検料、整備料(工賃+部品代)がプラスされるからです。業者に依頼するのは車検ではなく、点検+車検整備+車検(代行)だからです。一般的にもっとも高額だと言われるのがディーラーです。ディーラーでは36か月点検の費用がかかります。

 それにプラスして、必要ならばオイル交換、ブレーキパッド交換、ブレーキフルード交換などが行われることもあります。これらがもちろん必要なものなら行うのが当たり前ですが、車検段階ではまだ限界に達していないこともあります、

 ディーラーで行われる車検の場合は明細の内訳が少し変わってくるのですが、1700円で済む検査手数料が数千円~1万円以上に設定されていることもあります。ディーラーでの費用の明細は、

・36か月点検費用
・整備費用
・検査費用(完成検査料と呼ばれます、ユーザー車検の場合の1700円です)
・自動車重量税
・自賠責保険料
・印紙代(ユーザー車検では1700円に検査費用とともに含まれています)
・手数料

 こうした費用が積み重なって車検費用が20万円とかになってしまうわけです。では、ディーラー以外の指定工場や認定工場ではなぜ車検費用を抑えられるのでしょうか?

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