特効薬となるか!? 高齢者免許更新の新制度は事故対策に効果あり?


■全ての高齢者が技能検査を受けるわけではない

信号無視や踏切不停止などの違反者が対象となる(chihuahua55@AdobeStock)

 新たな制度は2021年6月までに導入される予定だが、もちろん、これですべての問題が解決したわけではない。なぜならば、この運転技能検査は、75歳以上の全員が受けるわけではないからだ。受けるのは、75歳以上のなかでも過去3年間に一定の違反行為のあるドライバーだけなのである。

 一定の違反行為は、信号無視、通行区分違反、踏切不停止等・遮断踏切立ち入り、交差点右左折方法違反等、交差点安全進行義務違反等、横断歩行者等妨害等など走行に関係するもので、シートベルトの未着用、駐停車禁止違反などは含まれていない。

 一定の違反行為のある人のみにした理由は、75歳以上の高齢運転者のうち、過去3年間に何らかの違反歴がある人は、重大事故率が全体の約1.8倍になる。

 さらに、前述した一定の違反歴で絞り込むと、重大事故率は全体の約2.1倍になる。つまり、より事故を起こす可能性のある運転者を重点的に絞り込んで検査を行おうというわけだ。

■内容はこの後も検討され対策は継続されていく

受講者を絞り込むもうひとつの理由は教習所の受け入れ体制にある(Monet@AdobeStock)

 絞り込むにはもうひとつ理由がある。それは、教習所の受け入れ体制だ。すでに「高齢者講習の予約がとれない」という声はあちこちから聞こえているように、今、増えている高齢運転者に対して、教習所の数が足りなくなっているのである。

 教習所は少子化の影響もあり、毎年1割のペースで減っている。特に地方部ではこの動きが顕著で、年間予想対象者数212.5万人の全員を受け入れることができないのである。そこで一定の違反者に絞り込むことで、対象者数を15.3万人にしたというわけだ。

 甘い、という声が聞こえてきそうだが、受け入れ体制がなければどうにもならない。それに厳しいことを言えば、運転がまともにできないのはなにも高齢者だけに限った話ではなく、ペーパードライバー含め全年齢で運転技能の有無があるかを確認することが、本当は必要だとも言える。

 なお、今回、同時に、視野欠損を起こして信号機などを見落とす危険性の高い緑内障の検査も導入すべく検討されていた。しかし、全国一律で正確にできるシステムが確立されていないという理由で、不採用になっている。

 最終的に決定された内容は、現時点で、というだけでありこの後も検討は続けられる予定である。

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