■ヤリス以外のトヨタの低燃費車たち
国土交通省が公表した「燃費の良い乗用車ベスト10」の上位車種で注目されるのは、2位にプリウス(32.1km/L)、4位にカローラスポーツ(30.0km/L)、8、9位に同じ数値でカローラセダン/ツーリング(29.0km/L)が入ったことだ。
これらの車種は、ノートやフィットよりも大きなミドルサイズの3ナンバー車で、車両重量も1300kgを超えている。それなのに燃費性能はコンパクトカーのハイブリッドと同等か、それ以上だ。
特にプリウスは、ボディサイズの割にWLTCモード燃費が優れている。前述の32.1km/Lを達成したのは、燃費スペシャルティ的なEグレードだが、上級のAプレミアムでもヤリスクロスと同じ30.8km/Lになる。
空力特性の優れたボディ、各部の摩擦低減などにより、車両重量が1370kgのミドルサイズカーでも燃料消費量を徹底的に抑えた。
前述の通りTHSIIは優れたハイブリッドシステムだが、低燃費の秘訣はそれだけではない。ボディスタイルから各種のメカニズムまで、車両全体の高効率化によるところが大きい。いわばトヨタにパーツを供給するサプライヤーまで含めた技術の総合力だ。
ほかのメーカーについては、トヨタに比べてハイブリッドの歴史が浅い。ホンダは1999年に初代インサイトを発売したが、メカニズムはその後に変化を繰り返してきた。
最初は薄型ブラシレスモーターを使うIMA、次は2組のクラッチを内蔵する7速DCTを併用したi-DCD、そして今は2個のモーターを使い、エンジンは主に発電を受け持つe:HEVだ。
ホンダに比べるとトヨタは、THS/THSIIを突き詰めてきた。しかもレクサスまで含めて膨大な車種に搭載しているから、蓄積された知見も多い。
その意味で、トヨタのハイブリッドの基本形となるTHSを1997年に登場した初代プリウスで確立させたのは、凄いことであった。初代プリウスで打ち立てた方針と、その後の積み重ねが、ハイブリッドにおける「トヨタvs他メーカー」の違いに通じている。
ヤリスHV(36.0km/L)と、他メーカーである日産 ノート(29.5km/L)、ホンダ フィットe:HEV(29.4km/L)との燃費の差がWLTCモード燃費で、6.5~6.6km/Lという大きな開きがある。
WLTCモード燃費だけでなく、実際に行ったベストカーの実燃費テストでもヤリスハイブリッドは優秀な結果を残している。
テストしたグレードはハイブリッドGで、WLTCモード燃費は35.8km/Lだ。それが郊外モードに準じた走行テストでは、40.0km/Lを記録している。WLTCモード燃費の郊外モードは39.8km/Lだから、これを上まわる数値になった。
はたして、他メーカーはトヨタに追いつける日が来るのだろうか?
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